【令和3年保育士試験最新版】試験対策を通して、児童虐待についての理解を深めよう

公開日:2021年11月11日


こんにちは、四谷学院の野本です。

最近も児童虐待に関するニュースが後を絶ちません。
一般の方はもちろんですが、これから保育士を目指す方には、より深く、問題を理解していただければと思います。
保育士試験にも頻出のテーマです。
今日はよく問われる統計について虐待についての理解を深めましょう。

「心理的虐待」と「身体的虐待」どちらが多い?


受講生からも良くいただく質問なのですが
実は、「虐待に関する調査」は、1種類ではありません。
何に関する調査なのかによって結果が異なることをよく理解しておく必要があります。
以下ブログもご確認ください。

保育士試験の統計問題から見る「児童虐待」

保育士試験に出題される可能性がある「虐待についての資料」で皆さんが混乱しがちなのは以下の通りです。

1「児童相談所による児童虐待相談の対応件数」(「福祉行政報告例」より)

2「養護問題発生理由」「被虐待経験の有無及び虐待の種類」
(「児童養護施設入所児童等調査」より)

3 虐待の事実が確認された事例についての「虐待の種別」
(「被措置児童等虐待届出等制度の実施状況」の「被措置児童等虐待の届出・通告受理件数」より)

1「児童相談所による児童虐待相談の対応件数」

「児童相談所に相談が寄せられ、対応した児童虐待相談の件数」を種別にまとめたものです。社会的養護を受けている子どもに限りません。

長い間、「身体的虐待」が多い傾向が続いていましたが、平成25年度の調査結果で「心理的虐待」が逆転して、それ以来「心理的虐待」がトップです。
平成28年度は、総数はとうとう12万件を超えました。前年度より約1万9千件も増えているのです。

なお、令和3年2月に公表された令和元年度の調査結果が、年報としては最新のものです。令和3年後期試験に続き、例年通りであれば令和4年前期試験も、この調査結果が出題の対象になります。

<出題例>
平成31年 神奈川県独自試験「児童家庭福祉」問8(抜粋)※統計更新
次の文は、児童虐待についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「令和元年度福祉行政報告例」(厚生労働省)によると、主たる虐待者は実母が最も多い。 (〇)

B 民法では、親権を行う者は、子の利益のために監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができるとしている。 (〇)

C 「令和元年度福祉行政報告例」(厚生労働省)によると、児童相談所に寄せられた虐待相談の相談経路で一番多いのが近隣・知人であり、次に多いのが警察である。 (×)

D 令和元年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談の内容別件数では、最も割合が多いものは身体的虐待、次いで心理的虐待となっている。(×)

Aについて、「虐待者別構成割合」では、「実母」が約47.7%(昨年約47.0%)と最も多くなっています。
「実母」が最多ではありますが、「実父」の占める割合が約41.2%(昨年約41.0%)と、増加傾向にあることが特徴的です。
Cの数値まで追うのは試験対策としては少し難しいかもしれませんが、一番多いのが警察(約9万6千件)で、次が近隣・知人(約2万5千件)です。
Dは瞬時に×と判断したいところですが、最も多いのが心理的虐待(約10万9千件)で、次いで身体的虐待(約4万9千件)です。どの虐待種も増加傾向で、全体では約19万3千件と、前年度比約3万4千件増加したという悲しい状況が続いています。
最近この統計数値については出題が減っており、神奈川県独自試験での出題を例に挙げましたが、ぜひおさえておくべきポイントなのでご紹介します。

2「養護問題発生理由」「被虐待経験の有無及び虐待の種類」

「養護問題発生理由」「被虐待経験の有無及び虐待の種類」は、「児童養護施設をはじめ、施設養護や里親などによる社会的養護を受けている児童についての調査の結果」(通称「児童養護施設入所児童等調査」)にある統計です。
「児童養護施設入所児童等調査」は、「社会的養護」「子ども家庭福祉」といった科目で頻出の資料なので、「聞いたことあるぞ」という方も多いのでは。

この資料で虐待に関して押さえておくべきは、「養護問題発生理由」、つまり施設に入所するに至った理由として、とにかく虐待が多いということです。
特に自立援助ホームや児童養護施設では、半数近い子どもが虐待によって入所しているということを押さえておきましょう(前者は45.5%、後者は45.2%)。

「被虐待経験の有無及び虐待の種類」にまとめられているのが、「被虐待経験」についてです。
「被虐待経験」つまり、これまでに虐待された経験のある子どもは、児童心理治療施設が突出して多く、約8割。
自立援助ホームや児童養護施設、児童自立支援施設がそれに続きます。
さらに、施設ごとの最も多い虐待の種類を押さえておきましょう。
施設別の最も多いものは以下の通りです。

里親、児童養護施設、乳児院、ファミリーホーム
・・・ネグレクト

児童心理治療施設、児童自立支援施設
・・・身体的虐待

母子生活支援施設、自立援助ホーム
・・・心理的虐待

3 虐待の事実が確認された事例についての「虐待の種別」

平成26年の「社会的養護」科目で出題されました。
この試験で詳しく出題されて以来、被措置児童等虐待の種類については、それほど深く掘り下げられたことはありません。
ただし、この調査では身体的虐待が1位だということはおさえておきましょう。

参考「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」

この報告書もおさえておくと安心です。
現在、令和3年8月に公表された第17次報告が最新ですが、その1つ前の第16次報告の内容が次回の試験までの出題対象です。
この調査に関しては、虐待死のうち0歳が最多であることが特徴的です。
心中以外の虐待死では、第15次調査までは身体的虐待が最多でしたが、第16次調査ではネグレクトが身体的虐待を上回りました。
直接の死因として挙げられている「頭部外傷」や「頚部絞扼による窒息」などという言葉を見ると、いたましくて仕方ないですね。

虐待の件数が増えている背景


悲惨な事件が報道されたり、制度改正や広報の強化が行われたりすることによって、児童虐待についての認識が広まってきました。
これまで気付かれなかった児童虐待が児童相談所につながるようになりました。
また、「子ども虐待の手引き」などの改正によって、虐待とみなされる範囲が広がりました。
こういったことも、虐待件数が増える背景になっています。

平成25年「子どもの虐待の手引き」などの改正

子どものきょうだいに虐待を行う、いわゆる「面前DV」が心理的虐待とみなされるようになりました。

平成28年の法改正では、「児童福祉法」等にも、特に児童虐待に関して大きく手が加えられています。
(参考)「チェック必須!平成29年後期試験以降の目玉は「児童福祉法の改正」」

令和元年の法改正では、「児童虐待防止法」や「児童福祉法」に
親権者等がしつけに際して体罰を加えることを禁止する旨が明文化され、
令和2年4月に施行されました。

あわせて、社会全体で体罰等によらない子育てについて考えるための「体罰等によらない子育てのために」というガイドラインも示されました。

これだけ対策が進められているにもかかわらず、
児童虐待による致死事件はなくならず、報道を目にするたびに心がいたみます。

すべての人が考えるべき問題ですが、特に保育士を目指す方には、一人でも多くの子どもがのびのびと成長し、「最善の利益」を享受できる環境を作っていただきたい。
それが私たちの願いです。

なお、全国保育士会より、
保育者向けの児童虐待防止のための研修用ワークブックが公開されています。
資格を取得してからでもよいのでぜひ一度目を通して、
保育士として子どもの虐待にどのように対峙するべきか学んでおきましょう。
全国保育士会「これって虐待?子どもの笑顔を守るために」

 

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