保育士試験の統計問題から見る「児童虐待」

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こんにちは、四谷学院の谷村です。
11月は児童虐待防止月間です!

保育士試験では、児童虐待に関する問題もよく出題されています。子どもにかかわる保育士にとって「児童虐待」という社会問題は決して無視することができません。

この記事では、実際の保育士試験の過去問題を解説しながら「児童虐待」について一緒に考えてみましょう。

「児童家庭福祉」科目での出題例

まずは問題を見てください。あなたはすぐに答えられるでしょうか?

平成29年後期「児童家庭福祉」問13

平成29年後期「児童家庭福祉」問13
次の図は、「平成 27 年度福祉行政報告例」において報告された、児童相談所における児童虐待相談の相談種別の割合を示したものである。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

ア 身体的虐待  イ 性的虐待  ウ 心理的虐待  エ 保護の怠慢・拒否(ネグレクト)

 (組み合わせ)
  A B C D
1 ア イ ウ エ
2 ア ウ エ イ
3 ア エ ウ イ
4 ウ ア エ イ
5 ウ エ ア イ

答え合わせをしましょう。

正解は「4」です。
A-ウ 心理的虐待
B-ア 身体的虐待
C-エ ネグレクト
D-イ 性的虐待

児童相談所における児童虐待相談の相談種別は、心理的虐待、身体的虐待の順で上位2位を占めるというのは押さえておきたい基本事項です。
正解できた人も多いのではないでしょうか?
出題されたら確実に正解しておきたい問題です。

では、もう1問見てみましょう。

平成30年前期「児童家庭福祉」 問14

平成30年前期「児童家庭福祉」 問14
次の図は、「平成 27 年度福祉行政報告例」において報告された、市町村において保育所を経路とした児童虐待相談の対応件数における相談種別の割合を示したものである。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

ア 身体的虐待   イ 性的虐待 ウ 心理的虐待 エ 保護の怠慢・拒否(ネグレクト)

 (組み合わせ)
  A B C D
1 ア イ ウ エ
2 ア ウ イ エ
3 ア エ ウ イ
4 ウ イ エ ア
5 ウ エ ア イ

「え、平成29年のものと同じ答えじゃないの?」と思ったあなた!
問題文をちゃんと読みましょう!!

ポイントは、ここの文章です。

次の図は、「平成 27 年度福祉行政報告例」において報告された、市町村において保育所を経路とした児童虐待相談の対応件数における相談種別の割合を示したものである。

おわかりいただけましたか??
「保育所を経路とした児童虐待の相談対応件数」なんです。

正解は「3」
A-ア 身体的虐待
B-エ ネグレクト
C-ウ 心理的虐待
D-イ 性的虐待

になります。

選択肢の組み合わせの中に、心理的虐待、身体的虐待が上位2位を占めるものがありません。そのとき、「あれ?」と思い、問題文をもう一度読見直して、「そういうことか!」というケースも。

「児童相談所における児童虐待相談の相談種別」とまるきり同じ順の選択肢を作らないあたりは、試験作成側のやさしさが垣間見えますね。

統計問題は、問題文の読み込みが合否を分ける

統計問題は、きちんと問題文や条件を読まないと痛い目にあいます。

「保育士試験の半分は、国語の問題ですよ」
なんていう説明をされる方もいらっしゃいますが、確かにこんな問題を見ると、うなづける部分もありますね。

保育士試験の出題範囲はとにかく広い!
だから、あれやこれやと手を広げるよりも、当たり前のことを当たり前にできると、というのが合格への近道です。
試験本番で焦らないように普段からしっかりと問題文を読むクセをつけておきましょう。

(おまけ)平成30年前期「児童家庭福祉」 問14の解説

「保育所を経路とした児童虐待相談」の対応件数は、保育所がどういうところかをイメージすると、選択肢を絞れます。
保育所を経路、つまり「保育所で働く人が気付く」ということ。
では、保育所で働く人が気付きやすい虐待ってどういうものでしょう?

・子どもの体にアザなどの傷がたえない
・子どもがやせ細っている
・給食を異常な食欲で食べる など

これらの、身体に症状が現れるものが思いつくのではないでしょうか。
ということで、身体的虐待、ネグレクトが上位1、2位にくるものをと考えると選択肢は1つしかないのです。

あなたの持っている知識を総動員したり、組み合わせで考えるというのもテクニックの1つですね。

こちらの記事では「虐待のサイン」を紹介しています。
https://yotsuyagakuin-tsushin.com/b/orangeribbon11/

まとめ:児童虐待から子どもを救うために

児童虐待という痛ましい事件をなくすためにも、どういう虐待が多いのかということを押さえておく必要があります。
また、どんなことから虐待に気づくことができるのか?ということもあわせて知っておきたいことです。

「試験の頻出問題」「ただの数字・統計」として捉えるのではなく、
私が実際に保育士として働いていたら?
というイメージを持ちながら学習をして理解を深めていきましょう。

※「児童家庭福祉」科目は、令和2年の試験から、「子ども家庭福祉」科目に名称が変更されます。

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