保育士試験では年号暗記は不要です!並び替え問題「攻略のコツ」

※この記事は約7分で読めます。

こんにちは。四谷学院の谷村です。

現在、保育士試験を目指して学習中のあなた!
もしかして、「年号が覚えられない!」と悩んでいませんか?

実は保育士試験では、歴史の問題(?)にも見えるような出題がされるのです。

そのためか、「年号はどうやって覚えたらいい?」という質問というか悩み、もはや心の叫び(!)を受講生からいただくことが多くあります。たくさんの方が困っているようです。

そこで、今回の記事では、「社会福祉」科目でよく出題される法令の並び替え問題について解説します。

年号暗記は本当に必要か?

高校までの歴史の勉強では、「年号をとにかく覚えた!」という印象が強くありませんか?語呂合わせなども活用し、「年号 = 暗記するしかない」という方式ができている人も多いかもしれませんね。

でも、ちょっと待ってください!
保育士試験は、マークシート式。年号を丸暗記していなくても問題は解けます。

法令の並べ替え問題の攻略法

「社会福祉」「子ども家庭福祉」など福祉系科目で時々出題されるのが、法令を古い順に並べ替える問題です。

令和4年前期の保育士試験「子ども家庭福祉」で実際に出題された問題を取り上げつつ、攻略のコツをお伝えします。

次のA~Dの子ども家庭福祉に関する法律を年代の古い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい

A 母子福祉法
B 児童福祉法
C 母子保健法
D 児童手当法

この情報だけで、正解を導く必要はありません。
実際、これだけで正解できる人はものすごく少ないと思います。

問題文をよーく読んでみましょう。
「古い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい」と言っていますね。

「法律名だけを見て、制定年の古い順に並べなさい」とは言っていません。
また、「何年に制定されたか」ということも尋ねていません。

何が言いたいかというと、
この問題は年号を丸暗記することが求められているわけではないということに気付いていただきたいのです。

かといって、歴史を学ばなくてもいいというわけではないので、
保育士試験対策として正しいアプローチの仕方をご紹介しますね。

法令が作られる理由

「なぜ法律ができるか?」
考えたことはありますか?
法律の制定は、決して過去だけの出来事というわけではなく、現代でも次々に新しい法律ができていていますね。
成立には、いろいろな理由がありますが、その1つに、各時代で何かを「守らなければならない」という機運が高まるためという側面があります。

たとえば、戦争孤児のためにできた法律は「児童福祉法」です。
映画、「ほたるの墓」で描かれたような孤児が、街中にあふれていたことを想像すれば、
急いで手を打たなければいけないことがイメージできますね。

しかし、次第に戦災孤児の問題よりも、少子化や核家族化による子育て支援の必要性が高まるなど、社会の変化によって「守らなければならない」対象が変わっていきます。

それにつれて、「児童福祉法」も改正を重ねてきました。
児童虐待の増加に「児童福祉法」だけでは対応しきれず、
虐待を受けている児童を守るために「児童虐待の防止等に関する法律」が制定された
ことも、保育士試験対策としてとても重要なできごとですね。

試験本番でも、このような社会や時代のニーズという視点を意識しつつ
問題用紙に列挙された法令をながめると、突破口が見えてきます。

選択肢で絶対に見るのは、最新と最古

さて、その上で選択肢は絶対に活用するということをお伝えしておきます。

先ほどの問題の選択肢は、この4つです。

A 母子福祉法
B 児童福祉法
C 母子保健法
D 児童手当法

1 A→B→C→D
2 B→A→C→D
3 B→D→A→C
4 B→D→C→A
5 C→B→D→A

最初に、成立が一番最近のものから考えていましょう。右端のアルファベットを見比べます。
A「母子福祉法」、C「母子保健法」、D「児童手当法」の3択ですね。

この3つを比べたとき、どれが一番新しそうでしょうか。
ものすごくざっくりイメージすると3つの法令は以下のことを定めたものです。

Aは「母子家庭の生活の安定や向上のために、必要な措置を講じる」
Cは「母子の健康を保持・増進する」
Dは「次代の社会を担う児童の健やかな成長に資する手当を支給する」
どの順で国は整備をしていったでしょう。

Dの児童手当は、全家庭に支給される手当であり
母子家庭への経済的支援や、
母子の健康を保持・増進したりすることよりも優先度は低いように思えませんか。
そのことから、Dが一番新しいと判断して、1と2に絞り込みます。

次に、いちばん古いものに注目します。
1でいちばん古いのは、Aの「母子福祉法」、2でいちばん古いのはBの「児童福祉法」ですね。
前述のとおり「児童福祉法」は、戦後の混乱期に戦災孤児を救済するため必要に迫られて制定された法律であり、
母子家庭に対して、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、母子家庭の福祉をはかることを目的とした「母子福祉法」よりも早いということはイメージしやすいかと思います。

実際、「児童福祉法」は昭和22年に
「母子及び父子並びに寡婦福祉法」の前身である「母子福祉法」は昭和39年に制定されました。

これで答えは2と判断できるわけです。

参考までに、「母子保健法」は昭和40年、「児童手当法」は昭和46年の制定です。

法令の成立背景をイメージしよう

年号を機械的に頭に入れようとするのではなく、背景にある「社会が何を守ろうとしているか」をイメージしてみると、ぐっと試験での正解率が上がるということをお分かりいただけたのではないでしょうか?

四谷学院のテキストの中でも「措置から契約へ」や「ウェルフェアからウェルビーイングへ」といった社会福祉の基本的な流れは取り上げています。こういった「流れ」を把握することで、細かなところが自然にイメージできるようになってくるんです。
とはいえ、理由はある程度こじつけでもかまいません。自分なりに考えながら印象に残しておくと並び替え問題に柔軟に対応できるようになりますよ!

また、『資料集』には「社会福祉年表」を掲載しています。
こちらには、日本の出来事と世界の出来事が併記してありますので
同じ年に日本と世界では何が起きたのか、自分や家族が生まれた年には何が起きたのか
覚えるのに苦労しない1900年や2000年などのきりのいい年にはどんなことがあったのか
といった視点で、折に触れて眺めるようにするとより理解を深めることができます。

さまざまな角度から、丸暗記ではなく理解を意識して学習を深めていきましょう!
選択肢の組み合わせも上手に活用すると、保育士試験のハードルが低くなりますよ。
こちらの記事もぜひご確認くださいね!

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