こんにちは!四谷学院の野本です。
保育士試験の勉強では、ほぼすべての科目で法律が登場しますね。
たくさんの法律が登場する上に、似たような名前のものもあるので、
「ちがいがよくわからない」とか
「条文の言い回しが堅苦しくて読む気にならない」と
苦手意識を感じている人も多いようです。
テキストの中で条文を引用している場合もありますが
もしかすると
「あー、あれは読み飛ばしちゃってる!」
という人もいるのでは?
しかし…!
テキストで紹介している条文は、最重要レベルです。
ぜひぜひ音読してみてください。
法律の名前だけを眺めて、ただ暗記しようとしても、法律とは仲良くなれません。
まずは踏み込んでみないと仲良くなれないのは、人間関係と同じです。
ということで、このブログでは法律と仲良くなるコツをお伝えします!
目次
実際に条文を読んでみよう
受講生の方は『資料集』の中でも重要な法律をいくつか取り上げていますので目を通しましょう。
そして、本で読むことにもメリットはたくさんあるのですが、
インターネットのe-Gov法令検索というところで確認するのもおすすめです。
今回は、子ども・子育て支援新制度について定めた
「子ども・子育て支援法」をもとに説明をしていきますね。
まずは法律名に注目!
「子ども・子育て支援法」という名前。
なにげなく読んでいる法律の名前ですが、「子どもと(保護者の)子育てを支援する法律」だということを端的にあらわしています。
保育士試験ではよく問われる子ども・子育て支援新制度は、この法律に沿って実施されています。
目次で概要をつかむ
多くの法令は、最初に目次がずらーっと並んでいます。
実際に「子ども・子育て支援法」のページをクリックしてみてほしいのですが
章だけを取り出してくると以下のようになっています。
目次
第一章 総則
第二章 子ども・子育て支援給付
第三章
特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業者並びに特定子ども・子育て支援施設等
第四章 地域子ども・子育て支援事業
第四章の二 仕事・子育て両立支援事業
第五章 子ども・子育て支援事業計画
第六章 費用等
第七章 子ども・子育て会議等
第八章 雑則
第九章 罰則
ここに目を通すと、どんなことを定めている法律なのかということがだいたい把握できます。
いきなり条文を読んでも、調べたいことがわかるだけで全体像をつかむことはできませんが、
目次を見ると法律の全体像が手っ取り早く確認できるので、効率がいいんです。
何のための法律なのかを知る
さて、当たり前ですが法律は適当に何となく作られるわけではありません。
きちんとその法律が作られる理由があるわけです。
というわけで、第1条を見てみましょう。
法律の第1条には、その法律の目的が規定されていることが多いものです。
「子ども・子育て支援法」の目的は以下のとおりです。
この法律は、我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に鑑み、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)その他の子どもに関する法律による施策と相まって、子ども・子育て支援給付その他の子ども及び子どもを養育している者に必要な支援を行い、もって一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的とする。
要するに
少子化や子育て環境が変化する中で
子どもが健やかに成長することができるように
支援するための給付などの制度について定めた法律だということですね。
それほど難しいことは述べられていません。
つまるところ、最初に法律名から「子どもと(保護者の)子育てを支援する法律」だと思ったとおりですね。
とにかく、勉強をしていて
「この法律、よく知らないけどどういう法律なんだろう」
と思ったら、相手を見ないで中身を知ろうとするのではなく、ちょっと踏み込んでみましょう。
検索機能が便利です
インターネットで法律を調べると、便利なことがあるんですよ。
例えば「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」
最近はそれほど細かい出題はありませんが、各施設におかれる職員などについては出題されがちです。
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」
このページで、たとえば 「心理療法担当職員」 という言葉を調べてみると……
乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設に置く職員だということが
パパパッと調べられるわけです。
ついでに、その配置基準や要件なども確認できますね。
一度調べるとなんとなく様子がわかってきて、ハードルが低くなる気がしませんか?
ちなみに……
パソコンの場合はctrl+Fでページ内検索ができます。
スマートフォンでもページ内検索はできるはず。各機種によって仕様は違うのでご自身で調べてみてくださいね!
法律についてのよくある質問
「教育基本法」と「学校教育法」の違いがよくわからない
これは「教育原理」科目で苦戦されている方からよくいただく質問です。
この対策としても、まずは条文に目を通してみることが必要です。
受講生の方は『資料集』にも掲載しているので目を通しておられる方も多いかと思いますが
「教育基本法」は案外短いという印象を持たれるのではないでしょうか。
全部で18条しかありません。
「教育基本法」は、文字通り日本の教育の基本について定めた法令で
教育の目的や理念、教育の実施に関する基本などについて定めたものです。
この法令では、生涯教育や家庭での教育を含むなど、広い範囲の話をしています。
一方「学校教育法」は、学校における教育について定めた法令で、
この第1条で規定されているいわゆる「一条校」(実際に学校教育法の第一条を見てみてくださいね!)
の運営などについて定めた法令です。
保育士試験の問題で、どちらの条文か見分けられないという嘆きもよく耳にしますが、
例えば同じ第11条になにが規定されているか比較してみましょう。
「教育基本法」の第11条
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない」
幼児教育について定めていますね。
一方で「学校教育法」の第11条は、以下のように学校における懲戒と体罰の禁止について定めています。
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
このように、自分なりに比較して印象付けると、一気になかよくなれる気がしませんか?
とはいえ、保育士試験は法律家になるための試験ではありませんから、条文を丸暗記しようとする必要はありません。
何度か文言に目を通しておくことで、試験の問題で提示されている用語の中から
適切なものを選べる程度になじんでおけばよいのです。
初めにお伝えしたように音読が効果的ですよ!
法令が覚えられません
「法令が穴埋めで出題される!もしかして、丸暗記しなきゃダメですか……?」とご質問をいただきます。
もちろん、丸暗記できるなら確かに確実です。
でも、そんなことができるのは一握りの人だけです。
どの条文からどの部分に穴をあけて出題されるかわからないのですから
丸暗記はあまりにも非効率的な学習方法と言えます。
それよりも、理解した知識や読解力をたよりに
提示された候補から適切なものを選べるだけの力を身に付けることに重点をおきましょう。
「私は読解力がないから……」という声も時々耳にするのですが、
テキストを読んだり、法令を読み込んだりすることを通して確実に身に付いているはずです。
日々の訓練で培っていきましょう。
このブログは、四谷学院の保育士講座スタッフが書いています。
四谷学院は通信講座ですが、あなた専門のサポートスタッフ『担任の先生』がつくようになっています。それが、私たちです。保育士試験についての専門知識はもちろん、どうしたら迷いなく勉強できるか日々考えているプロフェッショナル集団です。