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債権法改正のポイント〔第07回〕~弁済・相殺の改正を押さえよう~

  公開日:2020/03/13
最終更新日:2020/04/28

※この記事は約3分で読めます。

こんにちは。四谷学院宅建講座の甲斐です。
債権法改正のポイントの第7回は「弁済」「相殺」を扱います。相殺禁止に関する改正が特に重要です。

任意代位について債権者の同意を不要としました

任意代位について、債権法改正前は債権者の同意が要件とされていました。
しかし、債権法改正により、法定代位の場合と同様に、任意代位をする際に債権者の同意が不要となりました(民法499条)。

なお、債権法改正では、弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、自らが債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときを除き、債権者の意思に反して弁済をすることができないという制限が追加されています(474条3項)。
したがって、債権者が、弁済をするについて正当な利益を有しない第三者による任意代位を阻止したいのであれば、自らの意思に反するとして弁済を拒否すればよいといえるでしょう。

特定物の現状による引渡しに関する条文が変わりました

特定物の現状による引渡し(483条)について、債権法改正で赤字の部分が追加されました。
宅建試験対策としては、特定物の引渡しについては、引渡し時の品質を定めることができるときは、その品質による引渡しをしなければならないのに対して、引渡し時の品質を定めることができないときは、現状による引渡しで足りると押さえておけばよいでしょう。

民法483条
債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。

不法行為による損害賠償債権を受働債権とする相殺禁止の要件が変わりました

債権法改正前は、不法行為による損害賠償債権を受働債権(自分から見たときの債務)とする相殺が禁止されていました。
しかし、債権法改正で、
①悪意による不法行為に基づく損害賠償債権
②人の生命または身体の侵害による損害賠償債権
のどちらかを受働債権とする相殺が禁止されました(509条)。

①では「悪意による」を追加して、従来よりも相殺禁止の場面を狭めています。
反対に、②では不法行為に限定しておらず(債務不履行による場合も含みます)、従来よりも相殺禁止の場面を広げています。
すなわち、人の生命・身体の侵害のときは相殺禁止の場面を広げたのに対して、それ以外のときは相殺禁止の場面を狭めたと言うことができます。

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