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売買・交換と貸借の重要事項(第2回)~宅地建物に直接関係する事項その2

  公開日:2022/09/06
最終更新日:2024/03/25

※この記事は約4分で読めます。

こんにちは。四谷学院通信講座の甲斐です。
今回も、重要事項説明書のひな型を見ながら、売買・交換と貸借の重要事項を比較していきましょう。

第1回は下記のページで公開しています。

売買・交換と貸借の重要事項(第1回)~宅地建物に直接関係する事項その1

《以下の全ての画像は、クリックすると元サイズの見やすい画像が表示されます。》

私道の負担に関する事項

私道の負担(私道負担)とは、土地の一部に私道(個人や企業が所有している道路)が含まれていることをいいます。
私道の負担は、〔売買・交換〕〔宅地の貸借〕では重要事項ですが、〔建物の貸借〕では重要事項に含まれません
〔建物の貸借〕の場合は、建物の借主が基本的には宅地の利用に関与できないので、重要事項に含めていないと考えられます。
一方、〔宅地の貸借〕の場合は、私道の負担があることで、借り受けた宅地の上に建築できる建物が狭くなるなど、借主による宅地の利用に影響が生じ得ますので、重要事項に含めていると考えられます。

〔売買・交換〕〔宅地の貸借〕

〔建物の貸借〕
なし

【問題】宅地の売買の媒介の場合は、私道に関する負担について説明しなければならないが、建物の貸借の媒介の場合は説明する必要はない。(平成22年度問35)
【解答】〇

建物の設備の整備の状況(完成物件のとき)

建物の〔売買・交換〕では重要事項に含まれないのに対し、〔建物の貸借〕では重要事項に含まれます
〔売買・交換〕の場合は、例えば、売買のときは建物の所有者が売主から買主へと変わり、買主が入居後に設備の交換、撤去、新設を自由に行えるので、重要事項に含めていないと考えられます。
しかし、〔建物の貸借〕の場合は、建物の所有者が貸主のままで、借主が入居後に設備の交換、撤去、新設を自由に行えないので、重要事項に含めていると考えられます。

〔売買・交換〕〔宅地の貸借〕
なし

〔建物の貸借〕

【問題】事業用建物の賃貸借の媒介を行うに当たっても、居住用建物と同様に、台所、浴室等の設備の整備状況について説明しなければならない。(平成16年度問38)
【解答】〇

飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況

前述した「建物の設備の整備の状況」と紛らわしいのが、「飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況」です。一言でいうと、ライフラインの整備状況ですね。
ライフラインの整備状況は、〔売買・交換〕〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕に共通して説明事項に含まれます。ライフラインは宅地や建物の利用に大きく関わるからです。
ライフラインである飲料水、電気、ガス、排水は重要事項である」と押さえておきましょう。

〔売買・交換〕

〔宅地の貸借〕

〔建物の貸借〕

【問題】宅建業者Aは、自ら売主となり、土地付建物の売買契約を締結したが、買主B(宅建業者以外)が当該建物の隣に住んでいるので、都市ガスが供給されることを知っているとして、Bに対し、ガスの供給に関して宅建業法第35条の重要事項の説明を行わなかったことは、宅建業法に違反する。(平成15年度問45改題)
【解答】〇

建物状況調査(既存の建物のとき)

既存の建物(中古建物)に関する事項なので、建物の〔売買・交換〕及び〔建物の貸借〕の場合に、建物状況調査が重要事項となります
両者で異なる点は、「建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況」が、建物の〔売買・交換〕では重要事項に含まれるのに対し、〔建物の貸借〕の場合は重要事項に含まれないことです。

〔売買・交換〕

〔宅地の貸借〕
なし

〔建物の貸借〕

【問題】建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。(令和2年度10月問31改題)
【解答】×

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