最新!「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」のポイントを解説します!

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こんにちは、四谷学院の谷村です。

「花粉症」は日本人の国民病、なんていうようにマスコミでも取り上げられています。
最近では、「子どもの花粉症」も増えています。それにともなって、花粉症対策を求められる保育園や幼稚園も増えているようです。
先日、新しい「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」が発表されました。

アレルギーは、最悪の場合、子どもの命にもかかわる重要なことであり、その対応については、保育士として正確に理解しておかなければなりません。
この記事では、新しいガイドラインのポイントを解説します。

ガイドラインが改訂された理由は?

実際に発表されたガイドラインを見るとびっくり!!
2011年に発表された従来のガイドラインに比べ、全体の構成から大きく変わってしまっている!!

試験対策もイチから練り直し?!
と思ってしまうかもしれませんが、まったく、そんなことはありません。大丈夫です。

このガイドラインに限りませんが、新しい指針やガイドラインが発表された際は、その経緯をふまえた変更点に着目することが大切です。

アレルギー疾患対策基本法や保育所保育指針との関係

「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の理解のためには、改訂の背景を知っておくのが近道です。

1つ目の背景は改訂前のガイドラインが策定された後に新たに施行された「アレルギー疾患対策基本法」などの法令との整合性を図ることです。もう1つは、「保育所保育指針(以下、「保育指針」)」の改定です。

平成26年に制定された「アレルギー疾患対策基本法」には、アレルギー疾患に対する対策の必要性を、法的にサポートするという役目があります。アレルギー対策の目的を明らかにして、すべての人の理解と協力を得ること、そして行政からのサポートが期待されます。また、保育所を含む児童福祉施設や学校等の責務についても明記されています。

そして、「保育指針」には、保育所におけるアレルギーへの対応について、以下のように書かれています。

アレルギー疾患を有する子どもの保育については、保護者と連携し、医師の診断及び指示に基づき、適切な対応を行うこと。また、食物アレルギーに関して、関係機関と連携して、当該保育所の体制構築など、安全な環境の整備を行うこと。
看護師や栄養士等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。保育所保育指針 第3章「1子どもの健康支援(3)疾病等への対応」
体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもなど、一人一人の子どもの心身の状態等に応じ、嘱託医、かかりつけ医等の指示や協力の下に適切に対応すること。栄養士が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ること。保育所保育指針 第3章「2食育の推進(2)食育の環境の整備等」

「保育指針」には、保育所における保育の基本的な指針が記載されています。もちろんガイドラインには、より詳しく書かれていますが、「保育指針」に書いてあることに反する内容は、ガイドラインにも絶対に書かれていないということを理解しておきましょう。

キーワードは「連携」

保育士試験でも、特に事例問題では「連携」が定番のキーワードですね。
施設内の連携、医療機関など関係機関との連携、保護者との連携・・・そして連携が重要だからこそ、保育士単独で勝手に判断してはいけないといったことを把握しておけば、ガイドライン第Ⅰ部「基本編」の核になる部分はほぼおさえられたことになります。

それを踏まえて、ガイドラインの重要な内容の道筋をザっと挙げると、以下の点です。

(1)状況を把握、伝達するための知識を持っておくこと
(2)各関係者の役割を明確にしておくこと
(3)連携がとれないくらい緊急の場合の対応

(1)と(2)は、連携をとるために必要な知識、体制を整えておきましょう、ということです。
(3)は、アナフィラキシーのように緊急の対応が必要な際に、エピペン®や気管支拡張薬などの使い方を把握しておきましょう、ということです。

ガイドライン第Ⅱ部「実践編」には、保護者の依頼を受けて医師が記入する「生活管理指導表」をコミュニケーションツールとして活用した、個々のアレルギーに対する対応が解説されています。これも上記3つの点について、さらに詳しく解説したものと考えれば、流れはつかみやすいですね。少なくともアレルギーの症状自体は以前から変わるものではないので、新たなガイドラインだからといって恐れることはありません。

受験生がやるべきことは?

保育士試験で、ガイドラインそのものからの出題例が多いというわけではありませんが、アレルギーに関する問題は頻出です。保育士試験対策としては、アレルギーに関する法整備等が進む中で、ガイドラインが改訂されたということを認識した上で、以下のことをしておきましょう。

★「子どもの保健」や「子どもの食と栄養」などの科目で学んだアレルギーの概要やその対応の仕方を改めて理解しておく
★この記事でも紹介した「保育指針」の文言を確認しておく

ガイドラインそのものにも、ざっと目を通しておきましょう。

保育所におけるアレルギー対応ガイドライン:まとめ

保育所におけるアレルギーへの対応について、新たなガイドラインについて
「新しいガイドラインを読んで覚えなきゃならない?」
と不安を感じるかもしれませんが、大丈夫です!

もちろん、実際に保育現場で働く前には、必ずガイドラインにしっかりと目を通しましょう。
厚生労働省のウェブサイトでは、旧ガイドラインに沿ったものではありますが、内容を説明する動画も公開されています。子どもの命を預かる保育士として現場で適切な対応ができるよう、チェックしてみてくださいね!