こんにちは、四谷学院の石田です。
令和6年後期保育士試験が終わりましたね。受験された皆さん、本当にお疲れ様でした。
造形分野の令和6年後期の課題は、「ドングリを使った遊び」でしたね。
保育士試験の実技で「音楽」「言語」は、あらかじめ課題が発表されていて対策を練ったり準備をしたりしやすいのですが、「造形」については他の科目と少し違ってきます。それは、当日でないと具体的な課題内容がわからないということと、しかもその課題を予想するのが難しいため、絵を描くのが得意な人でも「どんな課題が出題されるのだろう」と不安な気持ちで試験にのぞむことになるのではないでしょうか。しかし、「造形」についても、ポイントを押さえて効率よく練習していくと攻略することができます。
この記事で、今回の「造形」試験を振り返るとともに、これから保育士試験を目指す方の効率的な練習を考える上で、役立てていただければと思っています。
では早速見ていきましょう!
目次
令和6年後期造形の課題は「ドングリを使った遊び」
当日出題された造形表現の問題文は以下のとおりです。
【事例】
N保育所では、園庭でたくさんのドングリを拾うことができます。5歳児クラスの子どもたちは、ドングリを使った遊びを楽しんでいます。
保育士も色々な材料や用具を園庭に出して、一緒に遊びに加わっています。
条件
1.【事例】に書かれている保育の様子がわかるように描くこと。
2.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
3.枠内全体を色鉛筆で着彩すること。
課題のポイント
今回は「ドングリを使った遊び」がテーマでした。
「ドングリを使った遊び」ということで、どのような材料と用具を組み合わせ、5歳の子どもたちがドングリを使って遊ぶのかということをイメージすることが少し難しいテーマだったのではないかと思います。
子どもの年齢は5歳
今回は「5歳児クラス」という指定になりました。ここで5歳児をイメージしてほしいと思います。5歳になると鬼ごっこ、縄跳び、ボール遊びなど大人並みに身体全体を使って活発に運動するようになります。
また、ひもを結んだり、雑巾を絞ったり、ハサミを使って自由自在にものを切ったりするなど手先の器用さが増してきます。
さらに、集団で協力し合いながら何かに取り組むといった協同遊びをする姿も多くみられるようになります。
前回の前期試験の3歳児という設定は、「3歳にこんなことできるかな?」と発達について配慮しなくてはなりませんでしたが、今回の5歳児ではほぼ大人と同じことができると捉えることができます。
「ドングリを使った遊び」の様子
事例をもう一度見てみましょう。
下線部分に注目してください。
N保育所では、園庭でたくさんのドングリを拾うことができます。5歳児クラスの子どもたちは、ドングリを使った遊びを楽しんでいます。
保育士も色々な材料や用具を園庭に出して、一緒に遊びに加わっています。
子どもの様子
最初に注意すべき点は、「5歳児クラス」という部分です。3頭身から3頭身半ぐらいの子どもを描き、保育士は子どもより大きく、そして6頭身、7頭身ぐらいで描くとちょうどバランス的にはよいでしょう。また、保育士と子どもの大きさの比率とすれば、保育士5:子ども3ぐらいでしょう。子どもが保育士の半分より少し大きいぐらいがちょうどいいのではないでしょうか。
園庭の様子
次に注意すべき点は、「ドングリを使った遊びを楽しんでいます」と「保育士も色々な材料や用具を園庭に出して、一緒に遊びに加わっています」という部分です。つまり、園庭で子どもと保育士がドングリを使った遊びをしているということです。園庭ということになれば、砂場の砂や土、泥遊びの中にドングリを取り入れている場面を描くことができます。例えば、砂や泥でできたケーキにドングリの飾りつけをしている場面や砂場で遊ぶ用のフライパンやお皿に砂と一緒にドングリも具材として入っているなどがイメージしやすいのではないでしょうか
遊びの内容
「保育士も色々な材料や用具を園庭に出して」ということなので、保育所にある色々な材料や用具にはどのようなものがあるのかを考えていきたいと思います。材料としては、画用紙、おりがみ、ねんど(油や紙)などの他に、お菓子やティッシュなどの空き箱、木、段ボール、トイレットペーパーやラップの芯、発泡トレー、卵パック、牛乳パック、乳酸菌飲料の容器、ペットボトルなどの廃材などがあるでしょうか。用具としては、ハサミ、セロテープやボンド、クレヨン、ペンなどがあげられると思います。ドングリもさまざまな種類があるので、大きいドングリ、中くらいのドングリ、小さいドングリがそれぞれ箱にたくさん入っていて並べられている場面が描かれていてもいいかもしれません。材料とドングリと用具を使ってどのような遊びの場面にするかを考えていく必要があります。
また、3人以上の子どもたちを描くことが条件なので、変化をつけるために、1人は紙ねんどのケーキにドングリの飾りつけをしているところ、他の子どもはドングリの入ったペットボトルのマラカスを鳴らして遊んだりと子どもの遊びに違いをつけたいものです。さらに、立っていたり、座っていたり、机の上で遊んでいるため下半身は見えないなどといったいくつかの姿勢の描き分けができるといいでしょう。
それ以外にもニコニコと笑顔の子どももいれば、一生懸命な顔をしている子ども、少し微笑んでいるくらいの顔をしている子どもなど表情にも変化をつけ、身体や顔の向きについても、正面を向いている、右あるいは左を向いているとより保育の場面っぽくなります。画面が単調にならないようにするということは常に頭の中にあった方がいいでしょう。
絵(作品)はトータルで判断します。事例をしっかり理解しているか、人数指定の条件を満たしているか、塗り残しがない、大人と子ども(今回は5歳児)を描き分けている、人物のポーズ、向き、動きに変化があるなど総合的に判断されます。
保育士の様子
今回、保育士の様子については、「一緒に遊びに加わっています」と書かれていました。
「一緒に遊びに加わっています」ということですので、子どもたちと一緒に遊んでいる保育士を描く必要があります。ニコニコと微笑みながら子ども(子どもたち)へ、あるいは子ども(子どもたち)と一緒にドングリを使った遊びを楽しんでいる保育士を描くようにしましょう。今回も、保育士の動きについては比較的自由度の高い指定と言えます。
子どもは3人以上
人数指定は、例年通りでした。子ども3名、保育士1名を描けば、条件を満たすことができます。前回と同様に、わかりやすい条件設定でした。
場所は「園庭」
「園庭」という条件がありました。
事例には、「園庭でたくさんのドングリを拾うことができます」「子どもたちは、ドングリを使った遊びを楽しんでいます」とあるので、季節は秋ということになります。また、園庭、つまり外での活動ですので、服装は、半袖ではなく長袖がいいでしょう。
以下のようなことが、背景のポイントとなるでしょう。
背景には、どんぐりの木やその下にどんぐりが落ちているといった様子や砂場などを描くことができれば季節にあった園庭らしさが増してきます。
合格通知の日程
実技試験結果通知書(合格通知書・一部科目合格通知書)は令和7年1月14日(火)~発表されます。
※オンラインにより受験申請した方については通知書の郵送はされません。マイページで確認する形式です。忘れずマイページで確認をしましょう。
子どもの遊びが出題されています
今回は「ドングリを使った遊び」について出題されました。
実はこういった遊びは、手先の器用さだけでなく、集中力や空間認知能力といった、学習や運動能力の発達の土台となる力を養うことにもつながります。
クラスでこのような外遊びをする時に、
・何をしてよいかわからず固まってしまう
・すぐに集中力が切れてしまう
・道具をうまく扱うことができない
というお子さんがいる場合は、発達のうえで何らかのつまずきを抱えていることも考えられます。
適切なサポートを行えるように配慮できるといいでしょう。
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このブログは、四谷学院の保育士講座スタッフが書いています。
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