宅建試験の合格率は、例年15%~17%程度です。
合格率の数字だけを見ると、「難しそう」と思われるかもしれません。でも大丈夫です。宅建試験は、しっかり対策をして臨めば、確実に合格を狙える試験です。
まずは宅建試験について、詳しく見てみましょう。
2023年度から過去5年分の試験の受験者数・合格率は以下のようになっています。
実施年度 | 受験者数(名) | 合格者数(名) | 合格率 |
2023年度 | 233,276 | 40,025 | 17.2% |
2022年度 | 226,048 | 38,525 | 17.0% |
2021年度 (10月) |
209,749 | 37,579 | 17.9% |
2021年度 (12月) |
24,965 | 3,892 | 15.6% |
2020年度 (10月) |
168,989 | 29,728 | 17.6% |
2020年度 (12月) |
35,261 | 4,610 | 13.1% |
2019年度 | 220,790 | 37,481 | 17.0% |
受験者数は、例年20万人前後で推移しています。
合格率は、例年15%~17%台です。受験者数の上位15%以内に入ることが目標ということになります。
宅建試験の合格点は、例年50点中34~38点程度。合格基準は70~75%程度ということになります。合格点は、その年の試験の難易度、受験者全体の得点分布により変動します。
実施年度 | 合格点 |
2023年度 | 36点 |
2022年度 | 36点 |
2021年度(10月) | 34点 |
2021年度(12月) | 34点 |
2020年度(10月) | 38点 |
2020年度(12月) | 36点 |
2019年度 | 35点 |
※登録講習受講者は、上記-5点が合格点です。
宅建試験は、法律系・不動産系資格の中では「カンタン」「対策がしやすい」といわれることがあります。宅建試験の難易度について考えてみましょう。
他の法律系・不動産系資格と比較してみましょう。
宅建試験は4肢択一のマークシート試験のみというシンプルな形式、試験時間も短いといえます。また、合格率も、他の法律系・不動産系資格と比べると高めです。
宅建 | 行政書士 | 司法書士 | 不動産鑑定士 | |
出題形式 | 4肢択一 | 5肢択一 多肢選択 記述 |
多肢択一 記述 ※上記合格後、口述試験もあり |
多肢択一 論文(多肢択一の合格者のみ受験可能) ※多肢択一の合格は翌々年まで有効 |
出題数 | 50問 | 60問(記述含む) | 72問(記述含む) | 多肢択一:80問 論文:11問 |
試験時間 | 2時間 | 3時間 | 午前2時間+午後3時間 | 多肢択一:午前2時間+午後2時間 論文:午前2時間+午後2時間を3日間 |
合格率 | 例年15%~17%台 | 約8%~15% | 約4%~5% | 多肢択一:約30%~35% 論文:約14%~17% |
宅建試験は、他の試験と比較しても、取り組みやすく、合格を狙いやすい試験といえます。そのため、法律系・不動産系資格の登竜門ともされており、まずは宅建資格を目指し、その後さらに他の資格へステップアップしていく道も開けます。幅広く生かせる資格といえるでしょう。
「宅建試験は難しくないということだから、独学で目指します」という声をよく聞きます。宅建試験が独学で対応できるものなのか、考えてみましょう。
宅建試験は、「マークシートだからカンタン」と思われることも多いですが、とても細かい知識を問われる出題もあります。実際の試験の問題を見てみましょう。
【問】宅地建物取引業が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地の販売広告において、宅地の将来の環境について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
イ 宅地または建物に係る広告の表示項目の中に、取引物件に係る現在又は将来の利用の制限があるが、この制限には、都市計画法に基づく利用制限等の公法上の制限だけではなく、借地権の有無等の私法上の制限も含まれる。
ウ 顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告することにより他の物件を販売しようとした場合、取引の相手方が実際に誤認したか否か、あるいは損害を受けたか否かにかかわらず、監督処分の対象となる。
エ 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたとき、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合でも、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。
この出題形式の場合、正しい選択肢の「数」を答えなければなりませんから、ア~エそれぞれについて正しく正誤判断して初めて、正解にたどり着くことができます。通常、マークシート形式の試験の場合、消去法も使いながら選択肢を絞っていくことができますが、この出題形式だとそうはいきません。このような形式も例年いくつか出題されています。
この形式での出題に対応するために、全範囲を完璧に、と対策し始めたら、いくら時間があっても足りません。効率よく、要点を押さえて対策していく必要があります。
宅建試験の対策は過去問が大切、といわれることがあります。では、独学でひたすら過去問に取り組めば合格を目指せるのでしょうか?
答えはNOです。
なぜなら、宅建の試験問題に臨める基礎力がないまま過去問に手を出しても、まったく歯が立たず、挫折してしまうことがほとんどだからです。
まずは、各科目の基礎からしっかり学習して土台を作り、それから少しずつ問題演習を重ねていきます。また、過去問は出題当時の法令に沿って作られているので、現時点での法令と違う場合もあります。過去問に取り組む場合には、現時点の法令に沿って改訂したり、法改正によりそもそも成立しなくなっている設問はカットしたりしておく必要があります。
独学で宅建試験を目指す場合、これらの準備からすべて自分でやる必要があります。質問・相談先もないため、自分の対策や勉強法方が正しいのか、確認することも難しくなってしまいます。
「独学が難しいことは分かったけれど、通学するような時間もない」という方も多いでしょう。そんな時に選択肢に挙がってくるのが、通信講座です。通信講座の最大のメリットは、何といっても「自分のペースで勉強できること」。そして、「通学の手間がかからず、自宅や通勤電車の中でも進められること」です。仕事の後に時間をかけて通学したり、自分で教材を買い集めて回って、最新の法令を調べて過去問に反映して…という作業で勉強時間を削る必要もありません。しかし、その一方で、「通信講座は孤独な戦い」という声が聞かれることがあります。通学スタイルの講座なら、先生に質問に行ったり相談をしたり、ということが可能ですが、通信講座は自分で何とかしなければならない、と思われがちです。
四谷学院通信講座は、担任制度を採用しており、受講生全員に担任がつきます。どんな質問や困りごとも、担任にご相談いただければ、親身に回答いたします。
宅建の出題には典型的なパターンもありますが、やみくもに覚えようとすると挫折しかねません。それぞれの出題をきちんと理解して、確実に点数を積み上げられるよう、疑問点はどんどん質問してください。また、担任が前回までの質問内容も踏まえながら回答しますので、何度も同じ説明をしていただく必要がなく、効率よく疑問点の解消をしていくことができます。