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ピアジェ、フロイト、エリクソン…様々な発達理論のまとめ

  公開日:2018/02/22
最終更新日:2024/02/26

※この記事は約4分で読めます。

こんにちは、四谷学院の夏目です。

「発達理論について、ピアジェとフロイトなど、心理学者ごとにまったく違うことを言っていて、混乱します。」
というご質問をいただきました。

たとえば、「口唇期・肛門期」(フロイト)と「感覚運動期」(ピアジェ)は、「感覚によって生きている時期」という点で、相通じるものがありそうです。
しかし、さらに進んだ「男根期」(フロイト)と「前操作期」(ピアジェ)では、ほとんど内容の一致がありません。

どちらも同じく「発達」について述べているのに、なぜ違いが出てくるのでしょうか。

主な発達理論

こうした「発達理論」の違いは、それぞれの学者の心に対する捉え方の違いからきています。
心に対する捉え方が違うので、心の発達についても違う見方が出てくるのです。

以下で、主な発達理論を簡単にまとめていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

ピアジェ(Piaget, J.)

ピアジェは、子どもの発達を「認知を獲得する過程」とみなしました。
認知とは、五感で感じた現象の理解、問題解決のための考え方のことです。

子どもは、最初は見たり触ったりしたものを感覚で捉える状態からスタートし(感覚運動期)、成長するにしたがって、抽象的な概念を操作できるようにまでなっていきます(形式的操作期)。
発達段階は、こうした知的機能の発達によって「感覚運動期/前操作期/具体的操作期/形式的操作期」に分かれます。

フロイト(Freud, S.)

フロイトは、心のエネルギーである「リビドー」(性的衝動)によって、心の働きを説明しました。

心が発達していく過程で、リビドーは形を変えて成熟します。これにともない「身体のどの部位にリビドーが向かうか」という点も変化していきます。
たとえば、授乳の時期には、リビドーが唇に向かいます(口唇期)。発達段階は、こうした身体の部位に応じて、「口唇期/肛門期/男根期/潜伏期/性器期」に分かれます。
発達段階の各時期において、リビドーが過剰に抑圧されるなどの問題があると、その後の人生に影響を及ぼすと考えたのです。

マーラー(Mahler, M.)

マーラーは、発達を「子どもの独立」という観点から考えました。

子どもは通常、1歳頃になると、独立して行動するようになります(接近期の終了)。
その後、1歳半から2歳頃になると、自分の行動を親に見て欲しい、参加して欲しいと思うようになります(再接近期)。
このとき、子どもには「親と一緒に行動したい」「干渉されたくない」というアンビバレントな感情があります。
ここをうまく乗り越えられると、親がいなくても自分の行動を楽しめるようになります(個体化の確立)。

ボウルビィ(Bowlby, J.)

ボウルビィは、発達を「愛着行動」という観点から考えました。

愛着行動とは、親の養育行動を誘うような行動(微笑む、泣く、しがみつく等)です。愛着行動は、発達の過程で変化していきます。
生後3カ月までは、親とそれ以外の人を区別せず、誰に対しても愛着行動をとります。それから徐々に人を選ぶようになり、6カ月から2歳ごろにかけて、特定の人に対する愛着がはっきりとしてきます。人見知りをしたり、親にしがみつく、後を追いかけるといった行動がみられるのも、この頃です。
2歳以降になると、「親が今そばにいなくても、いずれ戻ってくる」ということを理解できるようになるため、行動や感情が安定してきます。

エリクソン(Erikson, E. H.)

エリクソンは、人の発達が一生続くという「生涯発達」を唱えました。
したがって、発達段階の中には、乳児期から老年期までが含まれます。

発達段階のそれぞれにおいて、取り組むべき発達課題があり、たとえば、乳児期には「基本的信頼」、幼児期前期には「自律性」といった課題があります。
この課題が達成されない場合、心理的危機(強いストレス状態、人格形成の未熟さ)が訪れます。
エリクソンは、青年期の発達課題である「自我同一性の確立」を特に重視しました。


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