こんにちは、四谷学院の石田です。
令和6年前期保育士試験が終わりましたね。受験された皆さん、本当にお疲れ様でした。
造形分野の令和6年前期の課題は、「空き箱や廃材を使った遊び」でしたね。
保育士試験の実技の中で「造形」だけが、当日でないと具体的な課題内容がわからないということと、しかもその課題を予想するのが難しいため、練習をたくさん積んできた人、絵を描くのが得意な人でも不安要素を完全に払拭することができにくい試験といえるでしょう。
だからと言って、「音楽」「言語」の実技試験は、あらかじめ課題が発表されてはいますが、面接官の前で、子どもの前に立っていることを想定し、制限時間を気にしつつ緊張しながら発表しなければならないということを考えれば、どの実技試験においても大変さはさほど変わらないかもしれません。
この記事で、今回の「造形」試験を振り返るとともに、これから保育士試験を目指す方の効率的な練習を考える上で、役立てていただければと思っています。
では早速見ていきましょう!
目次
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令和6年前期造形の課題は「空き箱や廃材を使った遊び」
当日出題された造形表現の問題文は以下のとおりです。
【事例】
E保育所の3歳児クラスの保育室には、子どもたちが自由に遊ぶことができる空き箱や使い終わった素材を集めて入れたカゴが置いてあります。
子どもたちはそれらの空き箱等を使って遊んでいます。保育士は、その様子を子どもたちのそばで見守っています。
<条件>
1. 【事例】に書かれている保育の様子がわかるように描くこと。
2. 子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
3. 枠内全体を色鉛筆で着彩すること。
課題のポイント
今回は「空き箱や廃材を使った遊び」がテーマでした。
子ども同士や保育士とのやり取りなどといった、ストーリー設定は特にありませんでした。
「空き箱や廃材を使った遊び」ということで、どのような空き箱や使い終わった素材、つまり廃材を描くか、さらにそれらを使ってどのように3歳の子どもたちが遊ぶのかということをイメージすることが少し難しいテーマだったのではないかと思います。
子どもの年齢は3歳
今回は「3歳児クラス」という指定になりました。3歳になると身のまわりのことが大体できるようになります。
遊びについても身近なもの(砂、水、ブロック、積み木、廃材)に存分に触れ、自分の好きな遊びを繰り返し楽しむようになります。
また、見立て遊び(あるものを別のものに見立てる)も2歳の頃に比べるとより豊かになってきます。
それからすると、「空き箱や廃材を使った遊び」という今回のテーマは、3歳という年齢に適した遊びと言え、空き箱を車や電車に見立てて遊んでいるといった風景はごくごく当たり前に保育の現場では見られるということです。
しかしながら、まだ、協同遊びといった友達と協力し合って空き箱や廃材を使ってロボットを作るといったことはできません。平行遊びといって同じようなことをしていたり、すぐ近くにいたりしても、あまり関わりが見られないのが3歳頃の遊びの特徴です。なので、子ども同士が関わっているように見えて、それぞれが勝手に遊んでいるところを描けばより3歳の子どもの遊んでいる状況らしくはなります。しかし、そこまで厳密に発達の特徴を捉えたものになっていなくても大丈夫だと思います。
「空き箱や廃材を使った遊び」の様子
事例をもう一度見てみましょう。
下線部分に注目してください。
E保育所の3歳児クラスの保育室には、子どもたちが自由に遊ぶことができる空き箱や使い終わった素材を集めて入れたカゴが置いてあります。子どもたちはそれらの空き箱等を使って遊んでいます。保育士は、その様子を子どもたちのそばで見守っています。
子どもの様子
最初に注意すべき点は、「3歳児クラス」という部分です。
3頭身から3頭身半ぐらいの子どもを描き、保育士は子どもより大きく、そして6頭身、7頭身ぐらいで描くとちょうどバランス的にはよいのではないでしょうか。
保育室の様子
次に注意すべき点は、「保育室には、子どもたちが自由に遊ぶことができる空き箱や使い終わった素材を集めて入れたカゴが置いてあります」という部分です。
保育室のどこかに空き箱や廃材の入ったカゴを描かなくてはいけないということになります。カゴは、お店においてあるようなプラスチックでできたカゴでも、木や段ボールでできた箱のようなものを描いても大丈夫です。その中にお菓子やティッシュなどの空き箱、廃材としてトイレットペーパーやラップの芯、発砲トレー、卵パック、牛乳パック、乳酸菌飲料の容器、ペットボトルなどが入っているといいでしょう。
お絵描きの内容
さらに注意するべき点は、「子どもたちはそれらの空き箱等を使って遊んでいます」という部分です。
最低1人はティッシュの空き箱をバスに見立てて遊んでいるなど空き箱を使って遊んでいるところを描く必要があります。また、3人以上の子どもたちを描くことが条件なので、変化をつけるために、他の子どもはドングリの入ったペットボトルのマラカスを鳴らして遊んだり、牛乳パックを横にして積み木のように積み上げたりするなど子どもの遊びに違いをつけたいものです。
さらに、立っていたり、座っていたり、机の上で遊んでいるため下半身は見えないなどといったいくつかの姿勢の描き分けができるといいでしょう。
それ以外にもニコニコと笑顔の子どももいれば、一生懸命な顔をしている子ども、少し微笑んでいるくらいの顔をしている子どもなど表情にも変化をつけ、身体や顔の向きについても、正面を向いている、右あるいは左を向いているとより保育の場面っぽくなります。画面が単調にならないようにするということは常に頭の中にあった方がいいでしょう。
絵(作品)はトータルで判断します。事例をしっかり理解しているか、人数指定の条件を満たしているか、塗り残しがない、大人と子ども(今回は3歳児)を描き分けている、人物のポーズ、向き、動きに変化があるなど総合的に判断されます。
保育士の様子
今回、保育士の様子については、「その様子(子どもたちが遊んでいる様子)を子どもたちのそばで見守っています」と書かれていました。
「子どもたちのそばで見守っている」ということですので、子どもたちと一緒に遊んでいるのではなく、あくまで子どもたちの様子を見ているだけの保育士を描く必要があります。
保育士を表現する際には、「見守る」と書かれていますので、ニコニコと微笑みながら子ども(子どもたち)へ、あるいは子ども(子どもたち)の遊びに目線を向けつつ見守る姿を描くことが望ましいと言えます。今回も、保育士の動きについては比較的自由度の高い指定でした。
子どもは3人以上
人数指定は、例年通りでした。子ども3名、保育士1名を描けば、条件を満たすことができます。前回と同様に、わかりやすい条件設定でした。
場所は「保育室」
「保育室」という条件がありました。
事例には、季節の指定はありませんが、保育室の中での活動ですので、服装は、半袖でも長袖でもかまいません。
以下のようなことが、背景のポイントとなるでしょう。
背景には、保育室の中にありそうな遊具、窓、ロッカー、飾ってある絵などを描くことができれば保育室内らしさが増してきます。
合格通知の日程
実技試験結果通知書(合格通知書・一部科目合格通知書)は令和6年7月31日(水)~8月9日(金)の期間に発表されます。
※オンラインにより受験申請した方については通知書の郵送はされません。マイページで確認する形式です。忘れずマイページで確認をしましょう。
子どもの遊びが出題されています
今回は「空き箱や廃材を使った遊び」について出題されました。
室内遊びの定番ですが、実はこういった遊びは、手先の器用さだけでなく、集中力や空間認知能力といった、学習や運動能力の発達の土台となる力を養うことにもつながります。
クラスでこのような制作活動をする時に、
・何をしてよいかわからず固まってしまう
・すぐに集中力が切れてしまう
・道具をうまく扱うことができない
というお子さんがいる場合は、発達のうえで何らかのつまずきを抱えていることも考えられます。
適切なサポートを行えるように配慮できるといいでしょう。
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このブログは、四谷学院の保育士講座スタッフが書いています。
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