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売買・交換と貸借の重要事項(第3回)~宅地建物に直接関係する事項その3(水害ハザードマップ)

  公開日:2022/09/20
最終更新日:2024/03/25

※この記事は約5分で読めます。

こんにちは。四谷学院通信講座の甲斐です。
引き続き、重要事項説明書のひな型を見ながら、売買・交換と貸借の重要事項を比較していきましょう。
今回は、近年の宅建試験で出題されている水害ハザードマップに焦点を当てます。

前回は下記のページで公開しています。

売買・交換と貸借の重要事項(第2回)~宅地建物に直接関係する事項その2

《以下の全ての画像は、クリックすると元サイズの見やすい画像が表示されます。》

重要事項説明書のひな型を確認しよう

ひな型を見ると、水害ハザードマップについては、〔売買・交換〕〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕に共通する重要事項であることが分かります。
あらかじめ宅地・建物に関する水害の危険性を知っておくことは、どのような取引形態であっても必要なことだからです。

〔売買・交換〕

〔宅地の貸借〕

〔建物の貸借〕

宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、売買又は交換の媒介のときは重要事項説明の際に水害ハザードマップを提示しなければならないが、貸借の媒介のときはその必要はない。(令和3年度10月問33)
【解答】×

水害ハザードマップとは

水害ハザードマップとは、水防法15条3項の規定に基づいて、浸水想定区域をその区域に含む市町村の長が提供する洪水、雨水出水(内水)、高潮に関するハザードマップのことです。
したがって、水害ハザードマップは「洪水ハザードマップ」「雨水出水(内水)ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」の3種類となります。
その理由は、水防法にいう浸水想定区域が「洪水浸水想定区域」「雨水出水浸水想定区域」「高潮浸水想定区域」の総称であるからです(水防法15条1項4号)。

雨水出水(内水)とは、雨水の量が下水道管や水路の排水能力を上回ることにより、マンホールや雨水ます(雨水が流れ込むところ)から水があふれることです。

水害ハザードマップに関する説明の方法

水害ハザードマップの有無を説明する

取引の対象となる宅地・建物の位置において、洪水ハザードマップ、雨水出水(内水)ハザードマップ、高潮ハザードマップのそれぞれが存在するか否かを説明する必要があります
そして、各々の水害ハザードマップが存在する場合は「」に○を記載し、存在しない場合は「」に○を記載します。

例えば、東京都町田市には、洪水ハザードマップは存在しますが、雨水出水(内水)ハザードマップ、高潮ハザードマップは存在しません。
したがって、洪水ハザードマップは存在するが、雨水出水(内水)ハザードマップ、高潮ハザードマップは存在しないことを説明します。
そして、洪水ハザードマップには「」に○を記載し、雨水出水(内水)ハザードマップ、高潮ハザードマップには「」に○を記載します。

【参照】東京都町田市洪水・土砂災害ハザードマップ
https://www.city.machida.tokyo.jp/kurashi/bouhan/bousai/fuusuigai/kouzui.html

東京都町田市の「土砂災害ハザードマップ」は、どこが土砂災害警戒区域内であるのかを示しています。取引の対象となる宅地・建物が土砂災害警戒区域内か否かは、売買・交換・貸借を問わず重要事項に含まれますので、これも宅建業者にとって必要な情報となります。

宅地建物取引業者は、市町村が、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことを確認できた場合は、重要事項説明書にその旨記載し、重要事項説明の際に提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明すればよい。(令和3年度10月問33)
【解答】○

水害ハザードマップにおける所在地を説明する

存在する水害ハザードマップを提示しながら、当該水害ハザードマップにおける取引の対象となる宅地・建物の位置を示すことが必要です。
例えば、取引の対象となる宅地・建物の位置に洪水ハザードマップ、雨水出水(内水)ハザードマップの2つが存在する場合には、そのうち1つだけを提示するのではなく、2つとも提示することによって、各々の水害ハザードマップにおける当該宅地・建物の位置を示さなければなりません。

なお、取引の対象となる宅地・建物の所在地が浸水想定区域の外にある場合であっても、存在する水害ハザードマップにおける当該宅地・建物の位置を示す必要があります。

そして、「水害ハザードマップにおける宅地建物(or宅地or建物)の所在地」の欄には、水害ハザードマップを用いて所在地を示すことを記載します。例えば、「別紙のとおり。」「別添ハザードマップ参照。」などと記載します。

宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」の水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明の際にいずれか1種類の水害ハザードマップを提示すればよい。(令和3年度10月問33)
【解答】×

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