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令和5年施行の建築基準法改正を確認しよう(建築物の構造上やむを得ない場合における高さ制限に係る特例許可の拡充)

  公開日:2023/06/09
最終更新日:2023/06/02

※この記事は約5分で読めます。

こんにちは。四谷学院通信講座の甲斐です。
建築物の省エネ対策を強力に進めるため、令和4年(2022年)6月に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(改正建築物省エネ法)が成立しました。

改正建築物省エネ法の中には、宅建試験で出題される建築基準法の改正も含まれています。しかし、改正の大部分は「公布の日から3年以内に施行」とされていますので、宅建試験に出題されるのは令和7年度(2025年度)以降になると予想されます。

【参考】国土交通省「住宅:令和4年改正 建築基準法について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_kenchikukijunhou.html

しかし、一部の改正については、令和5年(2023年)4月1日までに施行されました。
今回は、令和5年4月1日までに施行された建築基準法の改正のうち、タイトルの「建築物の構造上やむを得ない場合における高さ制限に係る特例許可の拡充」に該当する2つの改正を見ていきます。

低層住居専用地域における絶対高さ制限の緩和

絶対高さの制限とは、低層住居専用地域において、建築物の高さは、原則として10mまたは12mのうち都市計画で定められた高さの限度を超えることはできない、という建築物の高さの制限です(建築基準法55条1項)。

低層住居専用地域
第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域田園住居地域を総称して「低層住居専用地域」と呼ぶことがあります。

この絶対高さの制限に関して、令和5年(2023年)4月1日施行の建築基準法改正により、建築基準法55条3項に以下の規定が追加されました。

建築基準法第55条第3項
再生可能エネルギー源‥‥‥の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、前二項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。

この規定により、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根などに関する工事(ex.屋根の断熱改修工事、高効率の熱源設備の設置工事)に際して、特定行政庁の許可(特例許可)があれば、その許可の範囲内で、建築物の高さを10m又は12mを超えるものとすることが可能になりました。

再生可能エネルギー源
以下の(1)~(3)のいずれかに該当するエネルギー源のことを指します(建築基準法55条3項かっこ書)。
(1)太陽光
(2)風力
(3)その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの

高度地区内における建築物の高さの最高限度の緩和

高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画で定められた内容に適合するものでなければならず(建築基準法58条1項)、その都市計画において建築物の高さの最高限度が定められることがあります。

この都市計画で定められる最高限度に関して、令和5年(2023年)4月1日施行の建築基準法改正で、建築基準法58条2項に以下の規定が追加されました。

建築基準法第58条第2項
前項の都市計画において建築物の高さの最高限度が定められた高度地区内においては、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、同項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、当該最高限度を超えるものとすることができる。

この規定により、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根などに関する工事に際して、特定行政庁の許可(特例許可)があれば、その許可の範囲内で、都市計画で定められた最高限度を超えるものとすることが可能になりました。

なお、高度地区に関する都市計画においては、建築物の高さの最高限度が定められず、建築物の高さの最低限度のみが定められることがありますが、この場合は上記の緩和規定が適用されません。
あくまでも上記の緩和規定は建築物の最高限度を緩和するものであることがポイントです。

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