令和5年後期保育士実技試験「造形」テーマは「クレヨン遊び」課題の分析 合格のポイントを解説します!

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こんにちは、四谷学院の石田です。

令和5年後期保育士試験が終わりました。受験された皆さん、本当にお疲れ様でした。
造形分野の令和5年後期の課題は、「クレヨン遊び」でしたね。

保育士試験の実技の中で「造形」だけが、当日でないと具体的な課題内容がわからないということと、しかもその課題を予想するのが難しいため、練習をたくさん積んでいたとしても不安要素を完全に払拭することができにくい試験と言えるでしょう。

だからと言って、「音楽」「言語」の実技試験は、あらかじめ課題が発表されてはいますが、面接官の前で、制限時間を気にかけながら子どもの前に立っていることを想定しつつ、緊張しながら発表しなければならないということを考えれば、どの実技試験においても大変さは変わらないかもしれません。

この記事で、今回の「造形」試験を振り返るとともに、これから保育士試験を目指す方の効率的な練習を考える上で、役立てていただければと思っています。
では早速見ていきましょう!

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令和5年後期造形の課題は「クレヨン遊び」

当日出題された造形表現の問題文は以下のとおりです。

【事例】を読み、次の3つの<条件>をすべて満たして、解答用紙の枠内にその情景を描きなさい。

【事例】
N保育所の2歳児クラスの子どもたちが、保育室の床の上に広げられた模造紙に、クレヨンで自由に線を描いたり色を塗ったりしています。
保育士は、そばで子どもたちのつぶやきを聴きながら見守っています。

<条件>
1. 【事例】に書かれている保育の様子がわかるように描くこと。
2. 子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
3.  枠内全体を色鉛筆で着彩すること。

課題のポイント


今回は「クレヨン遊び」がテーマでした。
子ども同士や保育士とのやり取りなど、ストーリー設定は特にありませんでした。
「クレヨン遊び」ということですが、室内で床の上に広げられた模造紙の上に自由にクレヨンを使って子どもたちが何かを描いているという状況です。
多くの人が様子をイメージしやすいような情景がテーマになっています。

子どもの年齢は2歳

今回は「2歳児クラス」という指定になりました。「児童福祉法」では、子どもについて、1歳未満を乳児、1歳から小学校就学の始期に達するまでの者を幼児としています。

しかしながら、多くの保育園では慣例的に、2歳以下を乳児、3歳以上を幼児としています。
2歳児の特徴としては、自我意識が芽生えてくる時期で、「いや」と自分の気持ちを表したりすることができるイヤイヤ期真っ只中の子どもということになります。

まだまだ複雑な活動ができるわけではなく、絵を描くといっても線か点、円(楕円)を描くか色を塗るといった表現がようやくできるようになるぐらいの技量です。
人を描いたとしても「頭足人とうそくじん」(2歳から3歳)といって、胴体がなく、顔(頭)から手や足が出ている絵を描いたりします。
これも2歳ぐらいの子どもの絵の特徴です。もちろん、まだ、協同遊びといった友達と協力し合って絵を描くということはできません。

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「クレヨン遊び」の様子

事例をもう一度見てみましょう。
下線部分に注目してください。

N保育所の2歳児クラスの子どもたちが、保育室の床の上に広げられた模造紙に、クレヨンで自由に線を描いたり色を塗ったりしています。
保育士は、そばで子どもたちのつぶやきを聴きながら見守っています。

子どもの様子

最初に注意すべき点は、2歳児クラスの子どもたちという部分です。
生まれたての赤ちゃんは体に比べて頭が大きく、成長するとともに徐々に頭より体の方の比率が大きくなります。
普通に子どもを描くというよりは、3頭身から3頭身半ぐらいで、少し頭を大きくした方が2歳児に見えやすいです。

保育室の様子

次に注意すべき点は、保育室の床の上に広げられた模造紙という部分です。
保育室の床の上ということを考えると、座っている3人以上の子どもたちを描かなくてはいけないということになります。
変化をつけるために

  • 正座で正面を向いている
  • 1人は四つんばいになって左を向いている
  • 1人は片方のひざを立てて座り、右の方を向いている
  • ・・・などのポーズが考えられます。

    人数の条件はこれでクリアすることになります。
    それ以外にもニコニコと笑顔で描いている子どももいれば、一生懸命な顔をして色を塗っている子ども、クレヨンで汚れた顔をしている子どもなど表情にも変化をつけるとより保育の場面っぽくなります。
    画面が単調にならないようにするということは常に頭の中にあった方がいいでしょう。

    お絵描きの内容

    さらに注意するべき点は、クレヨンで自由に線を描いたり色を塗ったりという部分です。
    2歳の子どもの絵の特徴を踏まえて

  • 線か点、円(楕円)を描がいているところ
  • 色を塗っているところ
  • 「頭足人」を描いているところ
  • などを表現できると、2歳児の発達を捉えたクレヨン遊びらしくなると思います。

    クレヨンで描いているといった質感を表現するために、クレヨンの線などの表現の仕方は太く濃く描くといいでしょう。
    とはいえ、もし、三角を描いてしまったとか、2歳児にしては上手すぎる絵を描いた表現してしまったという場合でも、それだけで2歳児の発達がわかっていない絵だと判断され不合格になるということはないと思います。
    絵(作品)はトータルで判断します。

    事例をしっかり理解しているか、人数指定の条件を満たしているか、塗り残しがない、大人と子ども(今回は2歳児)を描き分けている、人物のポーズ、向き、動きに変化があるなど総合的に判断されます。

    保育士の様子


    今回、保育士の様子については、「そばで子どもたちのつぶやきを聴きながら見守っている」と書かれていました。
    「そばで子どもたちのつぶやきを聴きながら」ということですので、保育士が立っているのであれば、座ったり、四つんばいになったりしている子どもたちのつぶやきは聴こえませんから、体勢を低くしたポーズの保育士を描く必要があります。

    全員の子どもから近い距離になるように保育士を描くことは難しいかもしれませんが、最低1人の子どもとは距離が近い(そば)ということも大切になってきます。
    また、保育士を表現する際には、「見守る」と書かれていますので、ニコニコと微笑みながら子ども(子どもたち)へ、あるいは子ども(子どもたち)の絵に目線を向けつつ見守る姿を描くことが望ましいと言えます。
    今回も、保育士の動きについては比較的自由度の高い指定でした。

    子どもは3人以上

    人数指定は、例年通りでした。子ども3名、保育士1名を描けば、条件を満たすことができます。前回と同様に、わかりやすい条件設定でした。

    場所は「保育室」

    「保育室」という条件がありました。
    事例には、季節の指定はありませんが、保育室の中での活動ですので、服装は、半袖でも長袖でもかまいません。また、クレヨン遊びということで汚れないようにスモッグを身に付けている子どもを描いてもたりしてもいいと思います。

    以下のようなことが、背景のポイントとなるでしょう。

  • 昼間の保育室内
  • 床に広げられた模造紙
  • 子どものかたわらには、ふたの開いたクレヨンのケースが置かれ、クレヨンが何本か転がっている
  • 背景には、保育室の中にありそうな遊具、窓、ロッカー、飾ってある絵などを描くことができれば保育室内らしさが増してきます。

    合格通知の日程

    実技試験結果通知書(合格通知書・一部科目合格通知書)は令和6年1月12日(金)~1月19日(金)の期間に発表されます。
    ※オンラインにより受験申請した方については通知書の郵送はされません。マイページで確認する形式です。忘れずマイページで確認をしましょう。

    四谷学院保育士試験対策講座

    子どもの遊びが出題されています

    今回は「クレヨン遊び」について出題されました。
    室内遊びの定番ですが、実はお絵描きは、手先の器用さだけでなく、集中力や空間認知能力といった、学習や運動能力の発達の土台となる力を養うことにもつながります。

    クラスでお絵描きや制作活動をする時に、
    ・何をしてよいかわからず固まってしまう
    ・すぐに集中力が切れてしまう
    ・クレヨンなどの道具をうまく扱うことができない
    というお子さんがいる場合は、発達のうえで何らかのつまずきを抱えていることも考えられます。
    適切なサポートを行えるように配慮できるといいでしょう。

    四谷学院では、保育士さん向けの発達障害児支援士資格認定講座を開講しています。

    この講座は、保育士が身につけるべきスキル・知識の1つとして必須ともいうべき発達支援について学んでいきます。
    ぜひこの機会に発達障害児支援士についても知っていただけると嬉しいです。
    特に発達障害児支援士資格を取得した方向けの専門支援士では、児童発達支援の知識、子ども・保護者への対応について、「ことば」「運動」を二本柱として、さらなる専門性を深めていくことができます。
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