
こんにちは、四谷学院の石田です。
令和7年後期保育士試験が終わりました。受験された皆さん、本当にお疲れ様でした。
造形分野の令和7年後期の課題は、「水たまりでの遊び」でしたね。
保育士試験の実技の中で「造形」については、「音楽」「言語」と違って、あらかじめ課題が発表されているわけではありません。
試験当日でないと具体的な課題内容がわからないということと、しかもその課題を予想するのが難しいため、絵を描くのが得意な人でも「どんな課題が出題されるのだろう」と不安な気持ちで試験にのぞむことになるのではないでしょうか。
しかし、「造形」についても、対策を練ったり準備をしたりすることがまったくできないわけではなく、ポイントを押さえて効率よく練習していくと攻略することができます。
この記事で、今回の「造形」試験を振り返るとともに、これから保育士試験を目指す方の効率的な練習を考える上で、役立てていただければと思っています。では早速見ていきましょう!
目次
令和7年後期造形の課題は「身近な物を使った音遊び」
当日出題された造形表現の問題文は以下のとおりです。
【事例】
Y保育所の3歳児クラスの子どもたちは園庭で、雨上がりにできた水たまりでの遊びや泥の感触を楽しんでいます。
保育士は、子どもたちが裸足になって遊べるように環境を整えて、その様子を見守っています。
<条件>
1.【事例】に書かれている保育の様子がわかるように描くこと
2.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと
3.枠内全体を色鉛筆で着彩すること
課題のポイント

今回は「水たまりでの遊び」がテーマでした。
子ども同士や子どもと保育士とのやり取りなどといった、ストーリー設定は特にありませんでした。「水たまりでの遊び」の中で、保育士が子どもたちが裸足になって遊べるように「整えられた環境」の場面を描く必要があり、その様子をイメージすることが実務経験のない受験生にとっては難しいテーマだったのではないかと思います。
子どもの年齢は3歳
今回は「3歳児クラス」という指定になりました。
3歳になると身のまわりのことが大体できるようになります。
遊びについても身近なもの(砂、水、スコップ、木切れ、葉っぱ)を扱い、自分の好きな遊びを繰り返し楽しむようになります。
また、見立て遊び(あるものを別のものに見立てる)も2歳の頃に比べるとより豊かになってきます。
しかしながら、まだ、協同遊びといった友達と協力し合って山を作ったりトンネルを掘るといったことはできません。平行遊びといって同じようなことをしていたり、すぐ近くにいたりしても、あまり関わりが見られないのが3歳頃の遊びの特徴です。なので、それぞれの子どもがやりたいことをして遊んでいるところを描けば、3歳の子どもの遊んでいる状況らしくはなります。しかし、そこまで厳密に発達の特徴を捉えたものになっていなくても大丈夫でしょう。
「水たまりでの遊び」の様子

事例をもう一度見てみましょう。
下線部分に注目してください。
Y保育所の3歳児クラスの子どもたちは園庭で、雨上がりにできた水たまりでの遊びや泥の感触を楽しんでいます。
保育士は、子どもたちが裸足になって遊べるように環境を整えて、その様子を見守っています。
子どもの様子
最初に注意すべき点は、「3歳児クラス」という部分です。3頭身から3頭身半ぐらいの子どもを描き、保育士は子どもより大きく、そして6頭身、7頭身ぐらいで描くとちょうどバランス的にはよいのではないでしょうか。
遊びの内容
次に注意すべき点は、「園庭で、雨上がりにできた水たまりでの遊びや泥の感触を楽しんでいます」という部分です。
最低1人は水たまりで遊んでいるところと、もう1人は泥に触れているところを描く必要があります。
そのため、水たまりに入ってちゃぷちゃぷ(踊ったり、跳ねたり)しているような様子を描いたり、泥に手を突っ込んだり、泥をかき集めたりしている様子を描いてもいいかもしれません。
また、3人以上の子どもたちを描くことが条件なので、変化をつけるために、他の子どもは水や泥をスコップですくったり、泥団子を作ったりしていてもいいでしょう。
さらに、立っていたり、座っていたり、よつんばいになっていたりなどといったいくつかの姿勢の描き分けができるといいでしょう。
それ以外にもニコニコと笑顔の子どももいれば、一生懸命な顔をしている子ども、少し微笑んでいるくらいの顔をしている子どもなど表情にも変化をつけ、身体や顔の向きについても、正面を向いている、右あるいは左を向いているとより保育の場面っぽくなります。
画面が単調にならないようにするということは常に頭の中にあった方がいいでしょう。
さらに注意すべき点は、「保育士は、子どもたちが裸足になって遊べるように環境を整えて」という部分です。
例えば、ブルーシートの上にきれいな水の入った大きなたらいと雑巾が置いてあり、遊んだ後に手足を洗ったり、雑巾で拭いたりすることができるような環境を描けているといいのではないでしょうか。
絵(作品)はトータルで判断します。事例をしっかり理解しているか、人数指定の条件を満たしているか、塗り残しがない、大人と子ども(今回は3歳児)を描き分けている、人物のポーズ、向き、動きに変化があるなど総合的に判断されます。
保育士の様子

今回、保育士の様子については、「その様子(子どもたちが遊んでいる様子)を見守っています」と書かれていました。
「見守っている」ということですので、子どもたちと一緒に遊んでいるのではなく、あくまで子どもたちの様子を見ているだけの保育士を描く必要があります。
保育士を表現する際には、「見守る」と書かれていますので、ニコニコと微笑みながら子ども(子どもたち)へ、あるいは子ども(子どもたち)の遊びに目線を向けつつ見守る姿を描くことが望ましいと言えます。
今回も、保育士の動きについては比較的自由度の高い指定でした。
子どもは3人以上
人数指定は、例年通りでした。子ども3名、保育士1名を描けば、条件を満たすことができます。前回と同様に、わかりやすい条件設定でした。
場所は「園庭」
「園庭」という条件がありました。なので外での活動ということになります。
事例には、季節の指定はありませんが、園庭で裸足になって水、泥遊びができるということは、季節は夏ぐらいの時期ではないでしょうか。ということであれば、服装は半袖で、子どもは半ズボンが適していると言えます。
以下のようなことが、背景のポイントとなるでしょう。
あくまで、主役は子どもや保育士である、どんな活動をしているのかということをわかりやすく表現することが大事になりますが、背景もしっかり描かれていれば絵の完成度も高まります。
その他の注意点
造形の実技試験では45分間の中で色塗りまですべてを終わらせなくてはなりません。そのためには効率よく作業を進める必要があります。
一番初めに、どんな絵にしたいのか、構図、人物の配置など、問題用紙の空いているスペースにラフスケッチ(簡単な下描き)を描くといいでしょう。
また、同じ色は一気に塗ったり、背景など広い部分(地面や床、壁など)から色鉛筆をねかせて同じ方向に動かしながら塗ったりしていくと時間短縮につながります。
合格通知の日程
実技試験結果通知書(合格通知書・一部科目合格通知書)は令和8年1月13日(火)~発表されます。
※オンラインにより受験申請した方については通知書の郵送はされません。マイページで確認する形式です。忘れずマイページで確認をしましょう。
子どもの遊びが出題されています

今回は「水たまりでの遊び」について出題されました。
実はこういった遊びは、手先の器用さだけでなく、集中力や空間認知能力といった、学習や運動能力の発達の土台となる力を養うことにもつながります。
クラスでこのような外遊びをする時に、
・何をしてよいかわからず固まってしまう
・すぐに集中力が切れてしまう
・道具をうまく扱うことができない
というお子さんがいる場合は、発達のうえで何らかのつまずきを抱えていることも考えられます。
適切なサポートを行えるように配慮できるといいでしょう。
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このブログは、四谷学院の保育士講座スタッフが書いています。
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