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債権法改正のポイント〔第08回〕~債権譲渡の改正を押さえよう~

  公開日:2020/04/28
最終更新日:2024/03/11

※この記事は約3分で読めます。

こんにちは。四谷学院宅建講座の甲斐です。

債権法改正のポイントの第8回は、「債権譲渡」を扱います。
特に譲渡制限特約の付いた債権譲渡の効力に関する改正が重要です。

譲渡制限特約の付いた債権の譲渡を有効として扱うことにしました

譲渡制限特約(特に譲渡禁止特約)の付いた債権の譲渡について、債権法改正前は無効であると扱っていました。例外として、譲渡制限特約の存在について善意かつ無重過失の第三者(譲受人など)に対しては、譲渡の無効を主張(対抗)できないとしていました。
しかし、債権法改正により、譲渡制限特約の付いた債権の譲渡は有効であると扱うことになりました(466条2項)。

もっとも、譲渡制限特約の付いた債権の債務者は、譲渡制限特約の存在について悪意または重過失の第三者(譲受人など)に対しては、債務の履行を拒むことができる他、譲渡人への弁済などの事由を対抗することもできます(466条3項)。

譲渡制限特約の付いた預貯金債権の譲渡は無効のままです

債権法改正後も、譲渡制限特約のある預貯金債権の譲渡については、例外的に債権法改正前と同じように扱われます(466条の5第1項)。
つまり、譲渡制限特約のある預貯金債権の譲渡は無効ですが、善意かつ無重過失の第三者(譲受人など)に対しては、譲渡の無効を主張(対抗)できないことになります。

将来債権の譲渡の有効性(466条の6)

将来債権とは、現在は発生していないものの、将来的に発生する可能性のある債権のことです。

たとえば、月10万円で土地を賃貸している場合は、月ごとに賃料債権が発生します。したがって、次の月以降に発生する賃料債権は、将来的に発生する債権であって、将来債権に該当します。
債権法改正前は、将来債権について何も規定していませんでしたが、判例が有効であることを示していました(最判平11.1.29)。
この判例を採用して、債権法改正により、将来債権が有効であることを明示しました(466条の6第1項)。そして、将来債権が譲渡された場合、譲受人は、債権が発生した時に、その債権を当然に取得することになりました(466条の6第2項)。

債務者による異議を留めない承諾は廃止されました

債権法改正前は、以下の規定(改正前民法468条1項)が設けられており、これを債務者による異議を留めない承諾(異議なき承諾)と呼んでいました。
しかし、債務者が受ける不利益が大きいという問題があったことから、債権法改正に伴い、以下の規定が削除されました。

改正前民法468条1項(債権法改正により削除)
債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。

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