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今、知っておきたい「災害心理学」

  公開日:2018/01/30
最終更新日:2020/05/07

※この記事は約4分で読めます。

こんにちは、四谷学院です。
このページでは「災害心理学」について解説します。

災害心理学とは

「災害心理学」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
東日本大震災の時に、ニュースなどで取り上げられたのを見た方も多いかも知れませんが、最近の新しい研究部門なんです。

「災害心理学」では災害に被災した方のほか、被災地に赴いて支援にかかわった医療従事者や消防、自衛隊、警察、または一般のボランティアなどが受けた心理的なストレスを対象としています。
つまり、災害でうけた心理的ストレスに対して支援を行う、応用心理学です。

災害心理学の実践

「災害心理学」では、災害直後に行う心理学的緊急支援(サイコロジカル・ファーストエイド)と、長期的な視点でPTSD等の予防や発症時のケアを行うための理論と方法について体系化されています。

また、災害だけでなく、事故や戦争など、広く惨事にまつわるストレスケアの為の方法論としても用いられています。
したがって「災害心理学」の知識は心理学の専門家だけのものにとどめず、災害支援に携わるすべての人々に知ってもらう必要性があると言えます。

こうした知識を広めるのも、専門家の大切な役割のひとつと言えるでしょう。

PTSD

PTSDとは、外傷後ストレス障害(PostTraumatic Stress Disorder)の頭文字をとった略語です。
厚生労働省のホームページでは以下のように説明されています。

生死にかかわるような実際の危険にあったり、死傷の現場を目撃したりするなどの体験によって強い恐怖を感じ、それが記憶に残ってこころの傷(トラウマ)となり、何度も思い出されて当時と同じような恐怖を感じ続けるという病気です。(中略)
PTSDでは、トラウマの記憶が1カ月以上にわたって想起され続け、下に述べるような症状をともなっており、また生活面でも重大な影響を引き起こしていることが特徴です。(中略)
なお、PTSDを発症した人の半数以上がうつ病、不安障害などを合併しています。また、人によってはアルコールの問題や摂食障害を合併することもあります。PTSDに注目し、治療を受けることは、こうした多くの精神疾患を治療、あるいは予防することにもつながります。厚生労働省HP

日本でPTSDが注目されるようになったのは、「阪神・淡路大震災」「地下鉄サリン事件」が大きなきっかけだとされています。それはこれらの出来事を多くの方が直接、あるいは間接に体験したことによると思われます。
こうした大規模な災害、犯罪だけでなく、交通事故やDV(家庭内暴力)、虐待などによってもPTSDは生じます。

正常性バイアスと多数派同調バイアス

バイアス(bias)とは、もともと「ななめ」とか「偏りという意味ですが、」心理学では「偏見」「先入観」「思い込み」などと定義されます。

災害時には、正常性バイアスも生じやすいとされています。正常性バイアスとは、簡単に言えば「自分だけは大丈夫」という根拠のない思い込みのことを言います。
たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大がニュースで報道され、外出自粛が呼びかけられても「自分はかからないから予定通りに旅行をしたい」と自分に都合の悪いニュースを無視したり、来週には収まっているだろうと過小評価してしまうことです。
また、ほかの認知心理バイアスとして多数派同調バイアス(集団同調バイアス)というものもあります。これは、たくさんの人がいるととりあえずそれに合わせるのが安全だと思い込むことです。例えば、「みんながトイレットペパーを買っているから、(デマと知っていても)一応買っておこう」ということがあります。

四谷学院では、初めて心理学を学ぶ方でも、わかりやすい解説で複雑な概念も楽しく理解!
臨床心理士など、心理職へのファーストステップとしても最適です。
くわしくは、ホームページをご覧ください。


 

 

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