※この記事は約7分で読めます。

こんにちは、四谷学院こども環境管理士の林田です。

環境に関する資格の中でビオトープ管理士資格というものがあります。
これは、こども環境管理士資格と同じく、日本生態系協会が認証する資格で、ビオトープ事業を担う最先端の技術者の証となります。

こども環境管理士は、「こども」と名前に入っている通り、幼稚園教諭や保育士などを主対象とした資格ですが、ビオトープ管理士は、「ビオトープ」に特化しています。
自然や歴史、文化など地域で受け継がれる貴重な財産を活かしながら、持続可能で美しい環境づくりを実践するという点では同じ目的を持っています。
より技術者としての側面は強くなりますが、専門職の方以外にも幼稚園や保育園の先生なども取得をされており、環境教育の指導者の証ともいえるでしょう。

この記事では、ビオトープ管理士試験でも出題され、かつ、こども環境管理士を目指す方にも絶対に押さえておきたいことをご紹介していきます。

ビオトープの定義

ビオトープとは、地域の野生の生きものが暮らす場所という意味です。

BIOは「生きもの」、TOPは「場所」の意味。BIOTOP(ビオトープ)

参考:日本生態系協会「言葉の説明」
http://www.ecosys.or.jp/aboutus/explanation/index.html

<地域のそして><野生の>生き物が限定です。ここがポイントになります。
では、ここはビオトープと言えるでしょうか?

(1)稲しか植えられていない水田

クリックして答えを見る
ビオトープです

(2)野生の生物の生息・生育が困難な砂丘

クリックして答えを見る
ビオトープです

(3)サンゴ礁

クリックして答えを見る
ビオトープです

ビオトープには色々な種類がありますが、地域や気候などによってその環境は大きく異なります。
日本で言えば、北海道と九州・沖縄では全く違ったビオトープです。しかし、人間の都合でどんどん開発という名前で街づくりが進んだために、ビオトープが次々と壊されたり、様くなったり、形が変わったりしてきました。生物の多様性が失われつつあります。

私たちが生きる基盤であるビオトープについて、知り、考える機会を作るのが園庭ビオトープや学校ビオトープです。

全国学校・園庭ビオトープについては、こちらのページをご覧ください。
http://www.biotopcon.org/

生態系の構造

基本から確認しましょう。生態系の理解を確認する問題です。

3つの「?」の部分には何が当てはまるでしょうか?
ちなみに、実際の試験は選択問題なので、正しい答えを選ぶだけです。

クリックして答えを見る

なお、昔は「草食動物」と呼んでいました。今では、高校の教科書などには「植食動物」と載っているそうです。
草だけでなくて、芽や果実、あるいは木の皮なども食べていることから、変わったとのこと。せっかくなので覚えておきましょう。

食物網と食物連鎖の違い

生物間にある「食う・食われる」という関係のことを、食物連鎖と呼びます。
食べる方は「捕食者」、そして食べられる方は「被食者」と呼ばれることもあります。

では「食物網」は「食物連鎖」とどう違うか、説明できますか?
確認しておきましょう。

食物連鎖(food chain)
生物群集にみられる“食う、食われる、分解する”といった種間関係をあらわす概念。生物間の物質・エネルギー流におけるつながりを示し、最近では食物連鎖全体の構造を表す食物網(Food Web)という言葉も使われる。
食物連鎖は大きく捕食系、腐食系、分解系に分けて考えられる。捕食系では、捕食、被食、寄生関係によって、栄養段階の上位の生物に物質・エネルギーが供給されるほか、その死骸や排泄物は腐食系や分解系によって分解される。腐食系の生物は、死骸や排泄物を食べ無機物化するほか、自ら餌となり捕食系の中に組み込まれる。分解系の生物は、捕食系・腐食系の生物の死骸や排泄物を分解し、生成された物質は植物の栄養となる。
捕食関係の上位の生物体内に重金属や環境化学物質が蓄積されていく現象は生物濃縮と呼ばれる。食物連鎖のバランスが保たれることは、生態系が維持されていく上で不可欠なものである。
(出典:EICネット(http://www.eic.or.jp/)[環境用語集]より引用)

実際の自然界では、捕食者は複数種類の食餌(エサ)をとっています。
そのため、食物の循環は、「鎖(チェーン)」というよりも「網の目」のように、入り組んだ関係となっています。「web」は蜘蛛の巣とか蜘蛛の巣のような複雑な関係という意味です。
自然界全体を見たときには「食物網」と呼び、その中からピックアップした「食う食われるの一連の流れ」を指す場合には「食物連鎖」という呼び方をします。

生物濃縮

昨今話題となっているマイクロプラスチック問題では、海洋汚染とともに生物濃縮が起こっています。
海に流れ込んだマイクロプラスティックを小さい魚が食べて、小さい魚を大きい魚が食べて、大きな魚を鳥が食べて・・・とどんどんマイクロプラスティックの濃度が高くなっていきます。
食物連鎖が起こるところでは、生物濃縮も起こるわけです。

プラスティックは海に溶け込んでいる有害物質を集めてしまいます。最大100万倍に濃縮させるという研究結果も出ています。
生物濃縮でマイクロプラスチックの濃度が上がるとともに、それにくっついている有害物質の濃度も上がるのです。

海洋プラスティック、マイクロプラスティックについては、こちらの記事も参考にしてください。

知って欲しい!海のゴミ問題「マイクロプラスチック」について

外来種の定義

「池の水を全部抜く」などのテレビ番組でもおなじみの外来種についても押さえておきましょう。
外来種について、次の文章は正しいでしょうか?それとも誤っているでしょうか?

外来種は、在来種を食べたり、在来種のエサとなるものを奪ったりし、生態系に悪影響を及ぼします。
その一方で、在来種同士が交雑する近親交配を防止するといった、良い影響を外来種はもたらします。

(ビオトープ管理士試験・改題)

答えを見る
答えは「×」です。
外来種が、近縁の在来種との間で交配が起こると、雑種が生まれます。
これは「遺伝子汚染」と呼ばれます。在来種が持っていた病気に対する抗体が失われるなど、遺伝子のかく乱が問題となっています。

外来種についてはこちらの記事も参考にしてください。

あなたの身近にいる外来生物について考えよう

エコロジカル・フットプリント

エコロジカル・フットプリント(Ecological footprint)は、直訳すると「環境の足跡」です。
私たち人類が、地球環境に与えている負荷の大きさを測る指標の1つです。

もう少し詳しく見て行きましょう。

 人間活動が地球環境に与える影響を示す指標の一つに、「エコロジカル・フットプリント」があります。エコロジカル・フットプリントは、私たちが消費する資源を生産したり、社会経済活動から発生するCO2を吸収したりするのに必要な生態系サービスの需要量を地球の面積で表した指標です。世界のエコロジカル・フットプリントは年々増加し、1970年代前半に地球が生産・吸収できる生態系サービスの供給量(バイオキャパシティ)を超えてしまっており、2013年時点で世界全体のエコロジカル・フットプリントは地球1.7個分に相当します。現在の私たちの豊かな生活は、将来世代の資源(資産)を食いつぶすことによって成り立っていると言えます。平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

※強調は引用者

こんなことを知ると、段々こわくなってきたのではないでしょうか?

しかし、「知は力」です。
少しでも知っていれば、少しでも行動が変わってきます。知ることで考えることが増えます。

環境問題について、もう見ないふりはできないところまで来ています。

四谷学院では、環境に関する通信講座を開講しています。
初めて学ぶ方にもわかりやすい教材で「資格取得」も目指せます!
「こども環境管理士」は、保育士・幼稚園教諭・学校の先生など、子どもとかかわる方にはお勧めの資格です。
試験の学習を通じて、環境問題の学びを深めていきましょう!