こんにちは。四谷学院宅建講座の甲斐です。

債権法改正のポイントの第6回は、「保証」を扱います。
特に保証人を保護する方策として新設された規定がポイントです。

連帯保証人に対する履行の請求が、主たる債務者に及ばなくなりました

債権法改正前と債権法改正後とを比較したときに、連帯保証人に対して生じた事由のうち、連帯保証人に対する履行の請求が主たる債務者に対して及ばないことが重要な変更点です。
この結果として、連帯保証人に対して債務の履行を請求しても、主たる債務者に対しては、裁判上の請求等による時効の完成猶予・更新(147条)または催告による時効の完成猶予(150条)が及ばないことになりました。

なお、連帯保証人が承認(権利の承認)をしても、主たる債務者に対しては、承認による時効の更新(152条)が及ばない点は、債権法改正前と同じように考えることができます。

個人根保証契約は極度額を定めないと契約自体が無効となります

根(ね)保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約です。

根保証契約の代表例が、賃貸借契約に基づく賃借人の債務を保証する場合です。
賃貸借契約に基づく賃借人の債務(賃料債務など)は、賃貸借契約から生じており、一定の範囲に属するものです。
さらに、主たる債務の金額が「10万円」などと特定されておらず、不特定の債務であるといえます。
したがって、賃貸借契約に基づく賃借人の債務を保証する契約は根保証契約に該当します。

しかし、主たる債務の金額が不特定であるときは、保証人の弁済すべき金額が予想しない金額にまで膨れ上がる危険性があります。
特に保証人が個人であるときには、弁済ができずに破産するケースもあることが問題視されていました。

そこで、債権法改正により、保証人が個人である根保証契約(個人根保証契約)は、極度額(保証限度額)を定めなければならず、極度額を定めない個人根保証契約は、その契約自体が無効であると規定しました(465条の2第2項)。
そして、保証契約は書面または電磁的記録によってしなければ無効である(446条2項・3項)ことから、個人根保証契約を締結するときは、極度額もその書面または電磁的記録に記載または記録しておかなければ無効となります。

債権法改正前は、保証人が個人である貸金等債務(主に借金や融資のこと)を主たる債務とする根保証契約(個人貸金等根保証契約)についてのみ、極度額の設定を義務付けていました。
しかし、保証人の弁済すべき金額が予想しない金額にまで膨れ上がる危険性は、借金や融資などに限りません。
そこで、債権法改正により、個人が根保証契約を結ぶ場合の全般について、極度額の設定を義務付けることにしました。

保証人に対する情報提供義務が新設されました

債権法改正により、保証人に対する情報提供義務が新設されました。
この制度は、個人根保証契約に関する規定と同じく、保証人を保護することを目的としています。
債権法改正で規定されたのは、①契約締結時の情報提供義務(465条の10)、②主たる債務の履行状況に関する情報提供義務(458条の2)、③主たる債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務(458条の3)の3つです。

これら3つの情報提供義務のうち、①は主たる債務者が情報提供義務を負うのに対し、②③は債権者が情報提供義務を負うという違いがあります。
もう一つ、①③は情報提供の対象となる保証人が個人に限られているのに対し、②は個人だけでなく法人である保証人も情報提供の対象に含まれるという違いもあります。

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