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精神障害の診断・統計マニュアルDSM-5 「不安障害」から「不安症群」へ

  公開日:2018/01/08
最終更新日:2024/03/11

※この記事は約3分で読めます。

こんにちは、四谷学院の夏目です。

今回は、精神障害の診断・統計マニュアル「DSM-5」において、「不安障害」などがどのように扱われているかを見ていきます。

「不安障害」の主な変更内容

変更があった主な障害は、表のとおりです。

不安障害は、DSM-Ⅳからかなり大きな変更が加えられました。

「不安障害」から「不安症群」へ

不安症群には、過剰な恐怖および不安と、関連する行動の障害を特徴とする精神疾患が含まれます。
特徴的な変更としては、以下の3つがあります。

(1)DSM-Ⅳにおいては「主に幼児期・小児期にみられる疾患」とされていた分離不安症や選択制緘黙が不安症として再分類された
(2)パニック症におけるパニック発作が、すべての診断に適用される特定用語とされた
(3)パニック症と広場恐怖症が、別の診断として分離されたこと

緊張や恐怖、落ち着かずドキドキする「不安症群」

心的外傷後ストレス障害・急性ストレス障害・適応障害

DSM-Ⅳにおいて不安障害として分類されていた「心的外傷後ストレス障害」「急性ストレス障害」は、「適応障害」とともに、心的外傷となるようなストレスの強い出来事への暴露が診断基準項目となっている疾患として再分類されました。
そして、ストレス因によってもたらされる心理的諸症状からなる障害を包括する「心的外傷およびストレス因関連障害群」として独立しました。

また、DSM-Ⅳにおいて子どもの診断と分類されていた「反応性愛着障害」が、DSM-5では、「小児期における心的外傷体験に原因がある」という理解から、「反応性アタッチメント障害、」「脱抑制型対人交流障害」という異なる障害として再定義されました。これらの障害も、心的外傷およびストレス因関連障害群に含めます。

強迫性障害

DSM-Ⅳにおける強迫性障害は強迫症および関連症群として再分類されました。
強迫は従来、背景に不安という心理的要因があることから不安障害に分類されていましたが、強迫観念や強迫行為といった、より明確な症状を含む障害群としてまとめた方が臨床的に有用であるとの考え方から、こうした再分類がなされました。
なお、DSM-Ⅳにおける「抜毛癖」も強迫行動とみなして、「抜毛症」として本障害群に含めることになりました。

身体表現性障害

DSM-Ⅳにおいて身体表現性障害として分類されていた一連の障害は、身体症状のほか、明らかな身体症状をともなう障害を含む新たな群として、大きく変更が行われました。
多くの重複があり、診断の境界があいまいであったため、全体の障害数を減らして整理されています。
また、医学的に説明不能であることが強調されていましたが、「医学的な説明ができないことを理由に精神疾患を診断することは不適切である」との指摘があり、主症状である身体症状と、そうした症状に対する心理的苦痛、行動上の障害の有無を基準とすることになりました。

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