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精神障害の診断・統計マニュアルDSM-5 「統合失調症」「うつ病」「人格障害」の主な変更点は?

  公開日:2018/01/10
最終更新日:2017/12/28

※この記事は約3分で読めます。

こんにちは、四谷学院です。
このページでは、DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル)における「統合失調症」「うつ病」「人格障害」についての主な変更点について見ていきます。

統合失調症、うつ病、人格障害の主な変更点

変更があった主な障害は、表のとおりです。

なお、人格障害については、「人格」の語を「パーソナリティ」に変更したこと、A群の名称が変わったこと以外、ほぼ変更はありません。

統合失調症

DSM-5において統合失調症は、他の精神病性障害、統合失調型パーソナリティ障害を含む「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」の一つとして分類されています。
精神病性障害群は、5つの中核的な症状によって定義され、これらの症状の強度や持続期間、または病因などにより、他の精神病性障害との鑑別診断が行われます。

5つの中核的な症状
(1)妄想
(2)幻覚
(3)まとまりのない思考(発語)
(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
(3)陰性症状

DSM-5では、破瓜型、緊張型、妄想型といった下位分類は削除され、かわりにディメンション的方法がとり入れられました。
統合失調症を含む精神病性障害の、中核症状の重症度と症状の型を評価する8つのディメンションを定め、それらからなる評価尺度によって評価する方法です。

    8つのディメンション

  • 1.幻覚
  • 2.妄想
  • 3.まとまりのない発語
  • 4.異常な精神運動行動
  • 5.陰性症状
  • 6.認知機能低下
  • 7.抑うつ
  • 8.躁状態

十分な情報を入手したうえで、これらについて5段階評定で評価を行い、得点化を行います。

0=「症状なし」
1=「疑わしい」
2=「存在するが軽度」
3=「存在する・中等度」
4=「存在する・重度」

この方法により、精神病性障害の症状の重症度を評価でき、認知機能や神経生物学的な欠陥の程度を予測できるとされています。

気分障害

DSM-Ⅳでは、双極性障害はうつ病(大うつ病性障害)とともに「気分障害」に含められていました。しかし、単一のうつ病と、躁病・軽躁病エピソードが含まれる双極性障害にみられる臨床像には相違があること、また双極性障害には症候論・家族歴・遺伝学的観点から、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群の間の橋渡しをする位置にあることなどから、双極性障害とうつ病を区別すべきとの指摘がありました。
これを受けて、DSM-5において両者は分離し、「双極性障害および関連障害群」「抑うつ障害群」という独立した障害として再分類されました。

双極性障害、うつ病ともに、診断基準の上での大きい変更はありません。
いくつかの変更点を紹介しておきますと、双極性障害には、気分の変化とともに、活動または活力の変化の双方が含まれるようになりました。
また、DSM-Ⅳでは「気分障害」に気分エピソードとしてまとめられていた大うつ病エピソード、躁病エピソード、軽躁病エピソード、混合性エピソードが、DSM-5では躁病エピソード、軽躁病エピソード、抑うつエピソードとして、双極性障害および関連障害群に含められています。
抑うつ障害群においては、DSM-5からは「月経前不快気分障害」が正式な診断名として採用されました。
また、DSM-Ⅳにおいて設けられていた、うつ病と死別反応を鑑別するための「死別反応の除外項目」が削除され、かわりに詳細な脚注がつけられることになりました。これによって、死別反応とうつ病の症状をより明確に区別するための助けとすることができるようになりました。

 

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