こんにちは、四谷学院宅建講座の甲斐です。

今回は宅建業法のうち最も重要かつ、毎年必ず出題される「35条書面」について、基本的なところを見ていきましょう。

35条書面(重要事項説明書)とは何か

35条書面とは、宅地建物取引業法35条の規定に基づいて作成される書面です。重要事項説明書とも呼ばれています。

35条書面は、契約を締結する前の段階で、売主・貸主となる側が、買主・借主となる側に対して、契約の対象となる不動産の状況を知らせるために作成します。
買主・借主となる側は、35条書面に記載された内容を、契約を締結するかどうかを判断する材料の一つとすることができます。

なお、35条書面と37条書面の違いについては、下記の記事を参照してください。

35条書面と37条書面の「交付先」の違いを押さえよう

重要事項の説明の方法

重要事項とは、宅地建物取引業法35条の規定に基づき、買主・借主となる者に説明することが義務付けられており、かつ、35条書面に記載することも義務付けられている事項です。
重要事項の説明の方法などについては、以下の6つの視点がポイントとなりますので、順番に確認しておきましょう。

(1) 説明義務者(誰が)
(2) 説明担当者(誰に説明させるのか)
(3) 説明の相手方(誰に説明するのか)
(4) 説明の時期(いつまでに説明するのか)
(5) 説明の場所(どこで説明するのか)
(6) 説明の方法(どのように説明するのか)

(1) 説明義務者

重要事項の説明義務者は、売主・貸主となる側の宅建業者(宅地建物取引業者)です。
具体的に言うと、売主・貸主となる者を媒介または代理する宅建業者と、自らが売主となる宅建業者が説明義務を負います。

これに対して、自ら貸主となる宅建業者は重要事項の説明義務を負いません
宅建業者が自ら貸主となることは自ら貸借に該当し、この場合は宅建業法の規定が適用されないからです。

(2) 説明担当者

重要事項の説明義務者である宅建業者は、必ず宅地建物取引士に重要事項を説明させなければなりません。
宅地建物取引士については、専任の宅地建物取引士であることは要求されていません

(3) 説明の相手方

重要事項の説明義務者である宅建業者は、買主・借主となる者に対して重要事項を説明する義務を負います。
ただし、買主・借主となる者が宅建業者である場合は、原則として、重要事項を説明する必要はありません
なお、買主・借主が宅建業者であっても、35条書面の交付は必要です。

(4)(5) 説明の時期・説明の場所

重要事項の説明は、契約が成立するまでの間契約成立前)に行わなければなりません。
一方、重要事項を説明する場所について、宅建業法では特に制限を設けていませんが、原則として、重要事項の説明は対面で行わなければなりません。

例外として、2017年10月以降、貸借の媒介・代理の場合に、テレビ会議などのITを活用した重要事項の説明が可能となりました。この制度はIT重説ITを活用した重要事項説明)と呼ばれています。
さらに、2021年3月以降は、売買・交換についてもIT重説が可能となりました

IT重説を利用する場合は、あらかじめ宅地建物取引士の記名のある35条書面を相手方(=買主・借主となる者)に送付していることが必要です。
なお、35条書面は「書面=紙」でなければなりません。ただし、買主・借主となる者の承諾がある場合は、PDFなどの電磁的記録で代用する(電子化する)ことができます。

2021年成立の法改正で、提供先になる相手方の承諾を条件に、35条書面、37条書面、媒介書面(34条の2書面)の電子化を認める内容が盛り込まれ、2022年5月18日に施行されました。2023年度(令和5年度)宅建試験から出題範囲に含まれます。

(6) 説明の方法

重要事項の説明義務者である宅建業者は、35条書面を相手方(=買主・借主となる者)に交付したうえで、宅地建物取引士に説明させなければなりません。
相手方に交付する35条書面には、宅地建物取引士の記名が必要です。

また、重要事項を説明する宅地建物取引士は、相手方から求めがなくても、必ず宅地建物取引士証を提示しなければなりません

2021年成立の法改正で、35条書面、37条書面において押印を不要とする内容が盛り込まれ、2022年5月18日に施行されました。2023年度(令和5年度)宅建試験から出題範囲に含まれます。

35条書面に関する学習のポイント

35条書面(重要事項説明書)は、本記事で取り上げた重要事項の説明の方法などの他、重要事項として説明すべき事項(説明事項)も、その内容が非常に細かいです。

問題演習を繰り返して、間違えた選択肢を復習することで、自身の間違えやすいポイントを徐々につかんでいきましょう!

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