こんにちは。四谷学院通信講座の甲斐です。
重要事項説明書のひな型を見ながら、売買・交換と貸借の重要事項を比較していきましょう。
今回は、取引条件に関する事項として、担保責任の履行に関する措置の概要、金銭の貸借のあっせん、割賦販売に係る事項に焦点を当てます。
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担保責任の履行に関する措置の概要
ひな形を見ると、〔売買・交換〕では重要事項に含めていますが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含めていません。
「担保責任の履行に関する措置」として説明すべきものは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託や保証保険契約又は責任保険契約の締結などですが(宅地建物取引業法施行規則16条の4の2)、それらは宅地建物の売買を想定しており、貸借を想定していません。
売買の場合は、宅地建物の所有権が売主から買主へと移転するので、不適合のある宅地建物を購入させられ、しかも修繕などのために出費をせざるを得ない買主を保護する必要があります。そこで、買主の保護を目的とした住宅販売瑕疵担保保証金の供託などを、買主に説明すべきとされています。
しかし、貸借の場合は、宅地建物の所有権が貸主のまま移転せず、不適合のある宅地建物の修繕などの出費をするのも貸主です。よって、貸借では借主に説明すべきものが存在しないという判断であると思われます。
〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕
なし
【問題】建物の売買の媒介を行う場合、売主が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託を行うときは、その措置の概要を説明する必要があるが、当該建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結を行うときは、その措置の概要を説明する必要はない。(平成26年度問34)
【解答】×
金銭の貸借のあっせん
〔売買・交換〕では重要事項に含まれますが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含まれません。
条文では「代金又は交換差金に関する金銭の貸借」と定めており、「借賃に関する金銭の貸借」、つまり貸借の場合を明確に除外しているからです。
〔土地の貸借〕〔建物の貸借〕
なし
【問題】宅地の売買の媒介を行う場合、代金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について、説明しなければならない。(平成29年度問33)
【解答】〇
割賦販売に係る事項
〔売買・交換〕では重要事項に含まれますが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含まれません。
割賦販売とは、「代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう」(宅地建物取引業法35条2項かっこ書)と定義されており、「代金」とあるので売買だけに当てはまるからです。
〔土地の貸借〕〔建物の貸借〕
なし
【問題】宅地建物取引業者は、土地の割賦販売の媒介を行う場合、割賦販売価格のみならず、現金販売価格についても説明しなければならない。(平成26年度問35)
【解答】〇
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