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売買・交換と貸借の重要事項(第6回)~取引条件に関する事項その3

  公開日:2024/03/01
最終更新日:2024/03/25

※この記事は約5分で読めます。

こんにちは。四谷学院通信講座の甲斐です。
今回も、重要事項説明書のひな型を見ながら、売買・交換と貸借の重要事項を比較していきましょう。

取引条件に関する事項として、契約期間及び更新に関する事項用途その他の利用の制限に関する事項敷金等の計算に関する事項管理の委託先契約終了時における宅地の上の建物の取壊しに関する事項に焦点を当てます。

前回は下記のページで公開しています。

売買・交換と貸借の重要事項(第5回)~取引条件に関する事項その2

《以下の全ての画像は、クリックすると元サイズの見やすい画像が表示されます。》

契約期間及び更新に関する事項

〔売買・交換〕では重要事項に当たりませんが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含まれます(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第8号)。
売買・交換とは異なり、貸借には継続的取引という性質があり、契約期間及び更新が問題になるので、これらが重要事項に含まれています。
なお、定期借地契約(定期借地権)、定期借家契約(定期借家権)に関する事項も、重要事項に含まれています。

〔売買・交換〕
なし

〔宅地の貸借〕

〔建物の貸借〕

終身建物賃貸借契約とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、借家人(原則として60歳以上)の生きている限り存続し、死亡時に終了する(相続されない)という一代限りの建物賃貸借契約のことです。高齢者が終身にわたり安心して賃貸住宅に居住できる仕組みとして導入されています。

【問題】建物の貸借の媒介を行う場合、契約の期間については説明する必要があるが、契約の更新については、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面への記載事項であり、説明する必要はない。(平成27年度問32)
【解答】×

【問題】宅地の貸借の媒介において、借地借家法第22条で定める定期借地権を設定しようとするときは、その旨を説明しなければならない。(平成17年度問37)
【解答】〇

用途その他の利用の制限に関する事項

〔売買・交換〕では重要事項に当たりませんが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含まれます(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第10号)。
「用途その他の利用の制限」の具体例として、事業用としての利用の禁止、事業用の業種の制限、ペット飼育の禁止、民泊としての利用の禁止などが挙げられます。

〔売買・交換〕
なし

〔宅地の貸借〕

〔建物の貸借〕

なお、〔建物の貸借〕にある「区分所有建物の場合における専有部分の制限に関する規約等」については、区分所有建物の売買・交換における重要事項にも当たります(宅地建物取引業法施行規則16条の2第3号)。
マンションの場合は、区分所有者間の利害の調整を図るという観点から、規約の定めによって、専有部分の用途その他の使用に関する制限が行われているからです。

【問題】区分所有建物の売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、区分所有建物の貸借の媒介を行う場合は、説明しなくてよい。(令和2年度10月問31)
【解答】×

敷金等の精算に関する事項

〔売買・交換〕では重要事項に当たりませんが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含まれます(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第11号)。
敷金等とは、「敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭」(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第11号)のことです。
売買・交換とは異なり、貸借には継続的取引という性質があり、契約の終了が問題になるので、敷金等の精算が重要事項に含まれています。

〔売買・交換〕
なし

〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕

【問題】宅地建物取引業者がマンションの一室の貸借の媒介を行う場合において、敷金の授受の定めがあるときは、その敷金の額、契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。(平成17年度問38)
【解答】×(金銭の保管方法は重要事項に当たらない)

管理の委託先

〔売買・交換〕では重要事項に当たりませんが、〔宅地の貸借〕〔建物の貸借〕では重要事項に含まれます(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第12号)。
貸主から依頼を受けて宅地や建物を管理している管理業者(管理会社)の商号・名称や住所を記載する欄であると考えてよいでしょう。

〔売買・交換〕
なし

〔宅地の貸借〕

〔建物の貸借〕

【問題】建物管理が管理会社に委託されている建物の貸借の媒介をする宅地建物取引業者は、当該建物が区分所有建物であるか否かにかかわらず、その管理会社の商号及びその主たる事務所の所在地について、借主に説明しなければならない。(令和元年度問41)
【解答】〇

契約終了時における宅地の上の建物の取壊しに関する事項

〔売買・交換〕〔建物の貸借〕では重要事項に当たりませんが、〔宅地の貸借〕では重要事項に含まれます(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第13号)。
主として一般定期借地権を念頭に置いている重要事項であるといわれています(借地権者に建物買取請求権がないため)。例えば、「契約が終了する50年後に更地にして返還する」という条件がある場合には、その内容を記載します。

〔売買・交換〕〔建物の貸借〕
なし

〔宅地の貸借〕

【問題】宅地の貸借の媒介を行う場合、借地権の存続期間を50 年とする賃貸借契約において、契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容を説明しなければならない。(令和元年度問39)
【解答】〇

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