こんにちは、四谷学院宅建講座の甲斐です。
宅地建物取引業法(宅建業法)の勉強を始めたとき、おそらく最初に学習するのが「そもそも宅地建物取引業とは何なのか?」という点です。
今回は、宅地建物取引業の定義を少し詳しく見ていきましょう。
宅地建物取引業とは
宅地建物取引業とは、次の(1)または(2)のどれかに当たる行為(宅地建物取引)を業として行うものをいう、と定められています(宅建業法2条2号)。
【宅地建物取引】
(1) 宅地建物の売買または交換
(2) 宅地建物の売買、交換または貸借の代理または媒介
そして、宅地建物取引業の免許(宅建業の免許)を取得した宅地建物取引業者(宅建業者)でなければ、宅地建物取引業を営むことができないので(宅建業法2条3号)、ある取引が宅地建物取引業に当たるかどうかはとても重要です。
売買・交換・貸借の区別については『きちんと区別しよう!売買・交換・貸借の区別』を参照すると理解が深まります。
売買または交換
「宅地建物の売買または交換」というのは、自らが当事者として、宅地建物の売買または宅地建物の交換という契約を自ら結ぶことです。
たとえば、自分が売主(売る側の人)となって、買主(買う側の人)に宅地建物を売却する契約を自分で結ぶのは「宅地建物の売買」に当たります。
後で説明する代理や媒介との違いは、他人に依頼しないで自分で契約を結んでいる、という点にあるということができます。
そして、宅建試験でよく出題されるのは、自らが当事者となって、宅地建物の貸借の契約を自ら結ぶことが宅地建物取引に当たらない、ということです。
言いかえると、「自分が当事者として、宅地建物の貸借の契約を自分で結ぶ」ときは、宅建業の免許が要らないのです。
たとえば、自分が賃貸人(貸す側の人)となって、賃借人(借りる側の人)に宅地建物を貸すという契約を自分で結ぶ場合で、これは自ら貸借とも呼ばれています。
大家さんが自分でアパートを建てて賃貸に出すのが「自ら貸借」の代表例で、大家さんは宅建業の免許が要らないことになりますね。
代理と媒介の区別については『説明できますか?「代理」と「媒介」』を参照すると理解が深まります。
宅地建物の売買、交換または貸借の代理または媒介
「宅地建物の売買、交換または貸借の代理または媒介」というのは、次の(a)~(f)のどれかに当たる行為をすることです。
(a) 宅地建物の売買の代理
(b) 宅地建物の売買の媒介
(c) 宅地建物の交換の代理
(d) 宅地建物の交換の媒介
(e) 宅地建物の貸借の代理
(f) 宅地建物の貸借の媒介
宅建試験の対策としては、(e)(f)にあるように、媒介や代理では「貸借」が含まれていることが重要です。
たとえば、自分が当事者となって、宅地建物の貸借をする行為は、宅地建物取引に当たらないので、宅建業の免許が不要であることは、先ほど説明したとおりです。
しかし、Aが賃貸人、Bが賃借人になる、という宅地建物の賃貸借を媒介または代理する行為(=(e)または(f)に当たる行為)は、宅地建物取引に当たります。
「業として行う」とは?
「業として行う」というのは、宅地建物取引を、不特定多数の者(取引の相手が特定されていないこと)に対して、反復継続して行う(繰り返し行う)ことであるといわれています。
典型例としては、Aが、広告を出して自ら購入者を募り、所有している複数の宅地建物をそれぞれ別の人に分譲する行為が、宅地建物取引を「業として行う」に当たると考えられています。
この場合、Aの行為は宅地建物取引業に当たり、宅建業の免許が必要になります。
まず、Aが「広告を出して自ら購入者を募り」というのが、不特定多数の人を相手にしていることに当たります。
「広告」を出しているということは、特定されていない多数の人を相手にしているからです。
次に、Aが「複数の宅地建物をそれぞれ別の人に自ら分譲する行為」が、宅地建物取引を繰り返し行っていることに当たります。
「複数」「それぞれ別の人に」ということは、1回限りの取引ではなく、複数回の取引を行うことになるからです。
したがって、Aの行為が「業として行う」に当たる、ということができます。
これに対して、企業が自社の従業員のみを対象として宅地建物を分譲する行為など、特定多数の者との間でのみ宅地建物取引をするのは「業として行う」に当たらず、宅建業の免許を必要とする宅地建物取引業に当たらないと考えられています。
この「自社の従業員のみに宅地建物を分譲する」という事例が、宅建試験で出題されたことがありますので、宅建業法を学習していく中で押さえていきましょう。
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