こんにちは、四谷学院通信講座の甲斐です。
今回は、日本の法令の体系について簡単に見ていきましょう。
本記事を一読していただくと、宅建試験で登場する「●●法」「●●法施行令」「●●法施行規則」などの関係を理解することができると思われます。
法令とは何か
法令とは、国や地方公共団体が制定する法であると考えてよいでしょう。
このうち国が制定する法については、憲法、法律、命令に大きく分類することができます。
地方公共団体とは、都道府県、市町村、特別区(東京23区)などのことです。地方公共団体が制定する法は、議会が制定する条例と、長(知事・市区町村長)が制定する規則に分類されます。宅建試験で条例や規則の内容から出題されることはないので、本記事では説明を省略します。
国が制定する法(1) 憲法
憲法とは、国家の基本となる法であり、最上位に位置付けられている法(国の最高法規)です。
わが国の憲法は「日本国憲法」と名付けられています。
国が制定する法(2) 法律
法律とは、立法・行政・司法の三権のうち、立法を担当する機関(国会)が制定する法です。
「●●法」「●●に関する法律」と名付けられているものが法律に当たると考えてよいでしょう。
法律については、国民が直接選挙によって選んだ国会議員の過半数(原則)が賛成して制定されるため、憲法の次に位置付けられています。
「●●に関する法律」の具体例として、建物の区分所有等に関する法律、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律、住宅の品質確保の促進等に関する法律などがあります。
「●●に関する法律」は、一般に法律の名称が長くなる場合に用いられており、新しく制定される法律は「●●に関する法律」という形になることが多いですね。
国が制定する法(3) 命令
命令とは、立法・行政・司法の三権のうち、行政を担当する機関(行政機関)が制定する法です。
命令については、国民が直接選挙によって選んだわけではない者によって制定されるため、法律の次に位置づけられています。
命令の種類はさまざまですが、宅建試験に関係するものとして、政令、内閣府令、省令、告示を見ておきましょう。
政令
政令とは、内閣が制定する法であり、法律に「政令で定める」といった規定がある事項について制定されます。
「●●法施行令」「●●令」と名付けられているものが政令に当たると考えてよいでしょう。
例えば、宅地建物取引業法に「政令で定める」といった規定がある事項について制定される宅地建物取引業法施行令、建築基準法に「政令で定める」といった規定がある事項について制定される建築基準法施行令などが政令に該当します。
内閣府令
内閣府令とは、内閣府(の大臣)が制定する法であり、法律又は政令に「内閣府令で定める」といった規定がある事項について制定されます。
内閣府令は「●●法施行規則」「●●規則」と名付けられていることが多いです。
なお、内閣府の大臣=内閣総理大臣です。
省令
省令とは、国土交通省や法務省などの省(の大臣)が制定する法であり、法律又は政令に「国土交通省令で定める」「法務省令で定める」といった規定がある事項について制定されます。
内閣府令と同じく、省令も「●●法施行規則」「●●規則」と名付けられていることが多いです。
例えば、宅地建物取引業法施行規則、建築基準法施行規則などが省令に該当します。
したがって、宅地建物取引業法施行規則は、国土交通省が定める省令であるとともに、内閣府が定める内閣府令でもある、ということができます。
告示
告示という言葉は、様々な場面で用いられているため、その意味があいまいです。
宅建試験との関係では、内閣、内閣総理大臣(内閣府の大臣)、各省の大臣が、一定の事項を国民に周知するために発するものが告示である、と考えておいてよいでしょう。
法律、政令、内閣府令、省令に「内閣総理大臣の定める」「国土交通大臣の定める」といった規定がある事項について制定されます。
宅建試験においては、宅地建物取引業者の報酬額に関する告示が出題されていますね。
この告示は、宅地建物取引業法46条1項の「国土交通大臣の定める」という規定に基づいて制定されています。
2項 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3項 国土交通大臣は、第1項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4項 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第1項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
国が制定する法の上下関係
国が制定する法は、憲法を頂点として「憲法⇒法律⇒政令⇒内閣府令・省令⇒告示」という上下関係があります。
この上下関係は、上位の法と矛盾する下位の法は無効となることを意味します。
例えば、政令の規定と矛盾する省令の規定は無効となりますし、法律の規定と矛盾する政令の規定も無効となります。
初めての方も、リベンジの方も、手厚いサポートを受けながら宅建試験の合格を目指しませんか?
最新の法改正情報や統計情報についても、しっかりとフォローします!
四谷学院の宅建講座について詳しくはホームページをご覧ください。