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こんにちは、四谷学院の夏目です。

心理学の用語の中には、私たちが普段の生活の中で使う意味と、異なった意味で使う言葉もあります。

この記事では、心理学の「統計解析」でよく使われる用語である「自由度(degrees of freedom: df)」について、解説していきます。

「自由度」の定義

自由度とは、「自由に変動できる測定値の個数」という意味です。

変数のうち独立に選べるものの数、すなわち、全変数の数から、それら相互間に成り立つ関係式の数を引いたものとなります。
「相互間に成り立つ関係式」のことは、「パラメータ」と呼びます。
つまり「1つのパラメータを推定するたびに1つの自由度を失う」ため、標本数をn、パラメータの数をpとすると、自由度はn-pとして表されます。

パラメータとは?

パラメーターとは、母集団の特徴を表すもの、ととらえます。
具体的には、平均値や中央値、最大値や相関係数、合計値などを推定していくことを指します。

たとえば「a,b,c,d,e」という変数があるとします。
互いに何の関係も自由に値が変動するとき、「自由度は5」となります。
もし、ここに「a+b+c+d+e=20」というパラメータを1つ追加した場合、「a=20-(b+c+d+e)」のように、1つの値が他の4つの値によって決定されます。
もうすこし、詳しく説明すると、5つの変数があり、「合計値が20」と規定された(パラメーター)時点で、4つまでは自由です。しかし、4つが決まった時点で残りの一つは決定します。
自由に変動できる測定値の個数は4つとなります。ですから自由度は4(つまり5-1)ということになります。

自由度とは、標本数から、パラメータの数を引いた数となっています。
つまり、
「自由度=標本数n-パラメータの数p」という関係が成り立ちます。

パラメータの具体的事例

より具体例を考えてみましょう。

ある学校には、「赤組」「青組」「白組」という3つのクラスがあります。合わせて100人の生徒がいたとします。
赤組と青組の2つは自由に人数は設定できます。たとえば、20人ずつでもよいですし、赤は30人で青は31人でも構いません。
しかし、赤組と青組の人数が決まった時点で、白組の生徒数は決定されてしまいます。

このように、自由に値を変えうるものはいくつあるか、というのが「自由度」です。
今回の例で言えば、「3クラスの合計値が100人」というのが決定打になるので、合計値が「パラメータ」ということになります。

もう1つ例を挙げましょう。
10,2,3,8,7,3,3,9,11,5という10個のデータ値がありました。
パラメーターとして平均値を求めるとします。
10個の数を足して割ると6.1となります。
この場合、もとは10個の数字で自由度は10だったのが、平均値が決定されたことで、9つまでは色々な点数がありえますが、9つがわかった時点で残りの一つの点数は決定されてしまいます。
ですから自由度は10-1で9になります。

まとめ:心理学の統計における自由度とは

心理学の統計において、自由度は分散の計算の際の分母として主に用いられます。
この分散を求めるためには、平均値を推定しなければなりません。平均値は前述の「パラメータ」に該当しますので、平均値を推定した時点で1つの自由度を失い、分散の公式に置ける分母としての自由度はn-1となります。

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