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平成29年度宅建試験で出題される宅建業法改正

  公開日:2017/07/01
最終更新日:2017/11/02

※この記事は約4分で読めます。

こんにちは、四谷学院通信講座の甲斐です。

今回は、平成28年に成立した宅建業法(宅地建物取引業法)の改正について、宅建試験の対策として押さえておくべき事項を見ていきましょう。

宅建業法改正の概要

国土交通省は、平成28年の宅建業法改正の概要を、次のように示しています。

≪平成28年の宅建業法改正の概要≫
(1) 既存の建物の取引における情報提供の充実
宅地建物取引業者に対し、以下の事項を義務付けることとします。
[1] 媒介契約の締結時に建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付
[2] 買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明
[3] 売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付

(2) 消費者利益の保護の強化と従業者の資質の向上
[1] 営業保証金制度等による弁済の対象から宅地建物取引業者を除外
[2] 事業者団体に対し、従業者への体系的な研修を実施する努力義務を賦課

今回の宅建業法改正のメインとなっているのは、(1)のインスペクションに関係する制度です。
しかし、(1)の改正が施行されるのは平成30年4月1日ですので、今年(平成29年度)の宅建試験では出題されません。
「今年は(1)の改正を無視しても大丈夫!」ということになりますね。

これに対し、(2)の改正は今年(平成29年)の4月1日に施行されています。
つまり、(2)の改正は今年度の宅建試験の出題範囲に含まれますので、試験前までに押さえておく必要があります。

もっとも、(2)の改正に関する事項は多くありませんので、ここで確認しておきましょう!

平成29年度試験でのポイント

〔改正に関係するテキストの項目〕では、当講座の「1.宅建業法 テキスト」の改正に関係する項目を示しています。
(※) 受講生の皆さんには、8月下旬に最新の統計情報とともに、法改正の詳細を「受講生専用ページ」にてお伝えいたします。

営業保証金や弁済業務保証金の還付対象者から「宅建業者」を除外

改正前は、宅建業者との間で宅建業に関する取引をした者は、たとえ宅建業者であるとしても、営業保証金や弁済業務保証金の還付の対象でした。
しかし、この制度を知っている宅建業者が先に還付を受けてしまって、一般の消費者が還付を受けられなくなる、という事態が発生していました。
平成28年改正では、一般の消費者が還付を受けられるようにするため、営業保証金弁済業務保証金の還付の対象者から宅建業者を除外しました。
さらに、この改正に対応する形で、還付を受けられない宅建業者に説明しても意味がないため、供託所等に関する説明をする相手方からも宅建業者を除外しました。
〔改正に関係するテキストの項目〕
STEP10「営業保証金の還付>営業保証金の還付とは(P68)」
STEP11「弁済業務保証金制度>供託所等に関する説明(P78)」
STEP12「弁済業務保証金の還付>還付を受けることのできる人(P81)」
STEP18「供託所等の説明義務(P136)」

従業者名簿の記載事項から「住所」を除外

平成28年改正では、個人情報保護の観点から、従業者名簿の記載事項から住所を除外することにしました。
氏名・住所で従業者の自宅を特定するなど、従業者名簿を悪用するケースを防止するための措置です。
〔改正に関係するテキストの項目〕
STEP13「業務処理一般>従業者名簿の備付け(P95)」

媒介契約の目的物の契約申込みに関する報告義務

平成28年改正では、消費者(依頼者)保護の観点から、媒介契約を締結した宅建業者に対し、その目的物(宅地建物)の売買や交換の申込みがあった際に、遅滞なく依頼者に報告することを義務付けました。
加えて、宅建業者が契約申込みに関する報告義務を負わないとする媒介契約の定めは無効としました。
契約申込みに関する報告義務は媒介契約の形態を問いません。
つまり、一般媒介契約の宅建業者でも契約申込みに関する報告義務が課せられます。
〔改正に関係するテキストの項目〕
STEP15「代理・媒介契約に対する規制>業務処理状況の報告義務(P112)」

宅建業者が宅地建物の取得者・借主となる場合の重要事項説明の省略

改正前は、宅建業者が宅地建物の取得者(買主)や借主となる場合も、これらの者に対する重要事項説明が義務づけられていました。
しかし、重要事項の内容を知り尽くしている宅建業者に対し、重要事項説明をする必要性は乏しいといえます。
そこで、宅建業者の業務効率化の観点から、宅地建物の取得者や借主となる者が宅建業者である場合は、重要事項説明を要しない(省略できる)としました。
もっとも、取得者や借主となる宅建業者に対し、重要事項を記載した書面を交付することは必要です。
〔改正に関係するテキストの項目〕
STEP16「重要事項の説明等>重要事項の説明の方法等>説明の相手方(P119)」

従業者への体系的な研修の実施

宅建業者の事業者団体に対し、宅地建物取引士などの従事者が必要な知識・能力を効果的・効率的に習得できるよう、法令や金融などの多様な分野に係る体系的な研修を実施するよう努めることが定められました。
宅建試験の対策としては、このような規定が設けられたことを覚えておけば十分です。

いかがでしたか??
宅建業法は、宅建試験合格の”要”となる科目です。
よく確認しておきましょう。

 

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