こんにちは、四谷学院宅建講座の甲斐です。

今回は、35条書面(重要事項説明書)について、詳しく解説します。
宅建合格のためには欠かせない項目ですので、しっかり学びましょう。

35条書面(重要事項説明書)とは?

宅建業法35条に基づいて、売主・貸主となろうとする側の宅建業者が、買主・借主となろうとする者(相手方)に対して説明しなければならない事項のことを重要事項(説明事項)といいます。

そして、この重要事項が記載されている書面のことを35条書面といいます。35条書面は重要事項説明書とも呼ばれています。

「売主となろうとする側の宅建業者」には、自ら売主、売主の媒介、売主の代理が含まれます。しかし、「貸主となろうとする側の宅建業者」には、貸主の媒介、売主の代理が含まれるのに対し、自ら貸主は含まれません。宅建業者が自ら貸主となる場合は「自ら貸借」に該当し、宅建業法が適用されないからです。

売主・貸主となろうとする側の宅建業者は、重要事項を35条書面に記載した上で、相手方に対し、その内容を説明しなければなりません。
宅建業者が相手方となる場合は、重要事項の説明は不要ですが、35条書面の交付は必要です。)

重要事項を説明する際には、宅建業者は、自らに従事する宅地建物取引士に説明させなければなりません。
そして、重要事項はとても多いですから、間違えやすい重要事項について、重点的に取り上げていきます。

私道負担は建物の貸借のみ説明不要

「私道」とは、私人が所有する土地の上にある道路のことです。
建築基準法42条に基づき、セットバック(道路後退)した部分も私道として扱われます。

私道負担つまり、私道に関する負担は、私道の上には建物を建築できない、私道部分は建蔽率や容積率の算定から除外されるなどの制約のことです。

このような私道負担は、建物の貸借の場合に限り、重要事項から除外されます。
私道負担は土地に対する制約です。つまり、建物を借りるだけであれば、あまり関係ないからです。

一方で、建物の貸借以外のときは、私道負担は重要事項となります。
土地の上に建物を建てるとなったときには、私道負担が大きく影響するので、土地の貸借の場合は、私道負担が重要事項に含まれます。

私道負担がないときは「ない」と説明する義務を負うということもポイントです。
私道負担がない場合は、「説明しなくてよい」というわけではなく、「私道負担がないことを説明する」ことが義務です。

建物状況調査に関して貸借の場合に説明不要の事項

2018年(平成30年)施行の宅建業法改正で、建物状況調査(インスペクション)に関する事項が重要事項に追加されました。

平成30年度宅建試験で出題される法改正 ~ 建物状況調査(インスペクション)

建物状況調査に関する事項は、中古住宅(既存建物)の売買・交換・貸借の場合に説明することが義務付けられています。
新築の建物の場合は、重要事項から除外されます。
これもポイントですから、覚えておきましょう。

また、具体的に重要事項となるのは、次の3つです。

(1) 建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る)を実施しているかどうか
(2) (1)を実施している場合は、その結果の概要
(3) 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況

中古住宅の売買や交換の場合は、(1)~(3)のすべてが重要事項に含まれます。
しかし、中古住宅の貸借の場合は(3)が重要事項から除外されます。(1)~(2)が重要事項に含まれます。
設計図書(建物の図面のことです)や点検記録などは、旧所有者から新所有者へと受け継がれるものなので、売買や交換の場合は関係ありますが、貸借の場合はあまり関係ないからです。

なお、私道負担の場合と同じく、(1)で建物状況調査を実施していないときは「実施していない」こと、(3)で保存していないときは「保存していない」ことを説明する義務を負います。

代金・交換差金・借賃は説明不要


宅建業法35条1項7号は、重要事項の一つとして「代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的」を定めています。
したがって、代金・交換差金・借賃は、重要事項から除外されます。

反対に、代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭は、重要事項に含まれています。
具体的には、手付金、権利金、敷金、礼金、保証金などは、説明する義務を負います。

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