こんにちは、四谷学院通信講座の甲斐です。
令和4年9月、重要土地等調査法が売買又は交換の重要事項として追加されました。
そこで、重要土地等調査法とは何かについて、簡単に見ておきましょう。

重要土地等調査法とは何か

重要土地等調査法の正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」です。
重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地等(土地及び建物)の利用を防止するために成立した法律で、令和4年9月に施行されています。

【参考】内閣府「重要土地等調査法の概要」
https://www.cao.go.jp/tochi-chosa/doc/gaiyo.pdf

重要事項として追加されたものは何か

売買又は交換をする宅地建物が、重要土地等調査法13条1項に規定する特別注視区域内に存在する土地等であるため、契約締結前に内閣総理大臣への届出(事前届出)を必要とすることが、宅地建物取引業者が説明すべき重要事項として追加されました。

重要土地等調査法13条1項に基づく事前届出は、主に所有権の移転又は設定をする契約を締結する場合に義務付けられています。
したがって、所有権の移転や設定を伴うことのない貸借をする場合は、重要土地等調査法に関する説明が不要とされています。

宅地建物取引業法施行令第3条第1項
法(宅地建物取引業法)第35条第1項第2号の法令に基づく制限で政令で定めるものは、宅地又は建物の貸借の契約以外の契約については、次に掲げる法律の規定(これらの規定に基づく命令及び条例の規定を含む。)に基づく制限で当該宅地又は建物に係るもの…(中略)…とする。
第63号 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律第13条第1項
○同令第3条第2項:宅地の貸借の重要事項から第63号を除外しています。
○同令第3条第3項:建物の貸借の重要事項に第63号を含めていません。

重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律第13条第1項
特別注視区域内にある土地等(その面積(建物にあっては、床面積。…)が200平方メートルを下回らない範囲内で政令で定める規模未満の土地等を除く。…)に関する所有権又はその取得を目的とする権利(以下この項において「所有権等」という。)の移転又は設定をする契約(予約を含み、当該契約に係る土地等に関する所有権等の移転又は設定を受ける者が国、地方公共団体その他政令で定める者である契約その他当該契約による土地等に関する所有権等の移転又は設定後における当該土地等が特定重要施設の施設機能又は特定国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されるおそれが少ないものとして政令で定める契約を除く。以下この条及び第26条第1号において「土地等売買等契約」という。)を締結する場合には、当事者は、次に掲げる事項を、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 当該土地等売買等契約の対象となる土地等の所在及び面積
三 当該土地等売買等契約の目的となる土地等に関する所有権等の種別及び内容
四 当該土地等売買等契約による土地等に関する所有権等の移転又は設定後における当該土地等の利用目的
五 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

事前届出の対象となる特別注視区域とは何か

以下、宅建試験とは直接関係がないと思われますが、特別注視区域という語句が登場しましたので、特別注視区域とは何かを見ておきましょう。

重要土地等調査法に基づいて指定される区域は、特別注視区域及び注視区域の2つであり、どちらも内閣総理大臣が指定します。
そして、重要土地等調査法12条1項を見ると、特別注視区域は注視区域の中から指定されることが分かります。

重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律第12条第1項
内閣総理大臣は、注視区域に係る重要施設が特定重要施設(重要施設のうち、その施設機能が特に重要なもの又はその施設機能を阻害することが容易であるものであって、他の重要施設によるその施設機能の代替が困難であるものをいう。…)である場合又は注視区域に係る国境離島等が特定国境離島等(国境離島等のうち、その離島機能が特に重要なもの又はその離島機能を阻害することが容易であるものであって、他の国境離島等によるその離島機能の代替が困難であるものをいう。…)である場合には、当該注視区域を、特別注視区域として指定することができる

では、注視区域とは何かというと、大まかに述べれば、重要施設の周囲1km以内又は国境離島等の区域内のうち、内閣総理大臣が指定した区域のことです。
重要施設に該当するのは、①防衛関係施設、②海上保安庁の施設、②生活関連施設(原子力関係施設と空港)です。
国境離島等に該当するのは、主に国境付近にある離島です。

注視区域や特別注視区域の詳細は、下記の内閣府のページを参照してください。
「3.指定区域一覧」の項目において、実際に区域や注視区域や特別注視区域として指定された区域を確認することができます。

【参考】内閣府「区域の指定について」
https://www.cao.go.jp/tochi-chosa/kuiki.html

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