こんにちは、四谷学院宅建講座の甲斐です。
今回は、「建築基準法改正」を取り上げます。
2018年(平成30年)11月現在、来年の宅建試験への出題が見込まれる法改正です。
この記事では2018年9月25日に施行された改正について、3つの事項をピックアップしていきます。
http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000162.html
【参考2】国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000097.html
来年2019年度宅建試験に出題される法令は2019年4月1日現在施行されている法令です。
法改正の具体的な内容は、2019年4月以降、あらためて説明いたします。
老人ホーム等についての容積率規制の緩和(合理化)
老人ホーム等における共用の廊下・階段の用に供する部分の床面積については、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないことになりました(建築基準法52条3項・6項)。
つまり、老人ホーム等は、共用の廊下・階段の床面積を容積率の算定対象外とします。
なお、老人ホーム等とは「老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの」を指します。
以前から共同住宅については、共用の廊下・階段の床面積を容積率の算定対象外とする制度が適用されていました。
今回の建築基準法改正で、老人ホーム等についても同じ制度を適用することになり、老人ホーム等をより広く建築することが可能になります。
接道規制の適用除外に関する手続の合理化
建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならないという接道規制(接道義務)があります(建築基準法43条1項)。
この接道規制については、「交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない」と認めて、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可した建築物の敷地には、接道規制が適用されず、道路に2m以上接していなくてもよいという例外があります(建築基準法43条2項2号)。つまり、接道規制の例外の適用を受けるためには、建築審査会の同意が必要でした。
今回の建築基準法改正では、「一定の基準に適合する建築物」の敷地については、建築審査会の同意が不要とし、特定行政庁の許可さえあれば接道規制が適用されず、道路に2m以上接していなくてもよいとする例外が新たに設けられました(建築基準法43条2項1号)。
この改正によって、建築審査会の同意がなくても、接道規制の例外の適用を受けることができるケースができました。
なお、「一定の基準に適合する建築物」とは、「利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し一定の基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める」建築物を指します。
仮設興行場等の仮設建築物の設置期間の特例
特定行政庁は、仮設興行場等について、「安全上、防火上及び衛生上支障がない」と認める場合、1年以内の期間を定めて、その建築を許可することができます(建築基準法85条5項)。
なお、仮設興行場等とは「仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物」を指します。
今回の建築基準法改正では、「国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由」により、1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、「安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ない」と認める場合、建築審査会の同意を得て、仮設興行場等の使用上必要と認める期間を定めて、その建築を許可することが可能になりました(建築基準法85条6項・7項)。
まとめ:建築基準法改正の概要
建築基準法は、建物等の安全を確保しつつ、その効率的かつ積極的な活用を促すために、改正が行われています。
特に今回の改正においては、2020年の東京オリンピックやプレ大会等を含む準備なども想定されています。
四谷学院 宅建講座