こんにちは、四谷学院宅建講座の甲斐です。
先日、2019年度の宅建試験に出題される可能性のある「マイナー分野」について取り上げました。
宅建合格の鍵?2019年度試験注目のマイナー分野
今回は、そのマイナー分野の中から、法定後見の概要について見ていきましょう。
法定後見には3種類あります
法定後見とは、精神障害によって判断能力が落ちている大人を保護するため、民法が定めている制度のことです。
法定後見には、後見、保佐、補助の3種類があります。
なお、後見の中には未成年後見といって、親権者が1人もいない未成年者を保護する制度もありますが、ここでは省略します。
「保護される人」は、どれも制限行為能力者ですね。
そして、「監督する人」は「保護する人」を監督する人です。
「保護する人」は、「保護される人」の財産を管理する権限を持っています。
このような「保護する人」による財産の管理がきちんと行われているかを、「監督する人」がチェックします。
3種類の法定後見で共通する事項
1.「保護する人」は必ず選任されますが、「監督する人」は任意で選任されます
家庭裁判所が後見・保佐・補助を開始するとの審判をした時から、それぞれの法定後見が開始されます。
家庭裁判所は、審判をするにあたって、必ず保護する人を選任します。
後見開始の審判をする時は成年後見人、保佐開始の審判をする時は保佐人、補助開始の審判をする時は補助人を選任します。
これに対して、監督する人については、家庭裁判所の判断によって、選任することもできますし、選任しないこともできます。
2.「保護する人」「監督する人」は複数選任することができます
法定後見の場合、保護する人や監督する人は、1人でもよいですが、複数人を選任することもできます。
さらに、保護する人や監督する人は、個人でも構いませんし、会社やNPOなどの法人でも構いません。
後見・保佐・補助を開始の申立てをする時、申立てをする人は「この人を成年後見人として選任して欲しい」などと意見を述べることができます。
しかし、家庭裁判所は、申立てをした人の意見には拘束されませんので、保護される人にとって適切な人を選任することができます。
(もちろん、申立てをした人の意見を取り入れることも可能です。)
後見の制度で特徴的な事項
後見・保佐・補助のうち、比較的わかりやすいのが後見の制度です。
ここでは後見の制度について、いくつか特徴的な事項を見ていきましょう。
1.成年後見人には同意権がありません
「保護する人」は、「保護される人」の行為について、同意権、追認権、取消権、代理権の全部または一部が与えられています。
しかし、成年後見人には同意権がありませんので、成年被後見人がした行為は、成年後見人の同意の有無に関係なく取り消すことができます。
成年被後見人は判断能力を日常的に欠いており、同意したとおりに行動するとは限らないからです。
2.成年被後見人が単独で行うことができる事項もあります
成年後見人は、成年被後見人がした行為を取り消すことができます(取消権)。
ただし、成年被後見人による「日用品の購入その他日常生活に関する行為」は、成年被後見人が1人で行うことができますので、成年後見人が取り消すことができません。
たとえば、スーパーでお弁当、ジュース、洗剤、スポンジ、トイレットペーパーといった普段の生活に必要なものを買う場合です。
その他には、認知や婚姻など(まとめて身分行為といいます)も、成年被後見人が1人で行うことができますので、成年後見人が取り消すことができません。
3.成年後見人が成年被後見人の代理人としてその居住用不動産を売却する場合
成年後見人は、成年被後見人の代わりに契約などをすることができます(代理権)。
ただし、成年被後見人の代わりに、その居住用不動産(=成年被後見人が居住する建物やその敷地)を売却しようとするときは、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
成年後見人が代理権を悪用し、成年被後見人が住む場所を失わないようにするためです。
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