こんにちは、四谷学院の土田です。
あなたの「憧れの字」とは何でしょうか?どんな字を書いてみたいですか?
私の憧れは、「行書」でした。
さらさら~~と流れるように書く、いかにも達筆な感じがして「かっこいい!」ですよね。共感される方も多いのではないでしょうか?
今日はそんな「行書」についてです。
練習は楷書からスタート?
「競書誌」をご存知でしょうか?
以前、私は競書誌を購読していまして、毎月のように提出をしていたことがあります。
誌面で課題となるお手本が提示され、〆切までに自分で練習して所定の用紙で提出。その出来によって段級位が認定されます。
翌号の誌面には、名前や昇級・昇段の有無が発表されますが、特に優秀な作品は写真で公開されることもあります。
四谷学院のペン字講座を監修されている岡田先生が副理事を務められる日本書蒼院でも、「書蒼」という競書誌を毎月発行されています。
競書誌は、少しずつ段級位が上がっていくシステムです。(段になると、なかなか昇段評価が厳しくなりますが)
最初は簡単な課題でも、申請級が上がっていくとだんだん難しくなります。
たとえば、日本書蒼院の競書誌「書蒼」の「一般部ペン習字」では、
● 4級~1級 「やさしい行書」の手本
● 初段以上 「行書」の手本
楷書と行書の違い
「行書」に憧れを持っていて、はやく書けるようになりたかったので、
「え?楷書からやらないとダメ?」とちょっぴり思ってしまったことを、ここに正直に書いておきます。(だって、本屋さんにも「行書のテキスト」ってありますよね?だからいきなり行書でもいいのでは?と思っていたんです。)
もし、私と同じように「なぜ楷書からスタートなの?」と思ったあなたに、楷書と行書のちがいをご説明します。ご存知の方も、整理しがてらチェックしてみてください。
楷書の特徴
一点一画を正しく美しく書くことができることが、特に大切にされます。
一般的に、公的な文書を書く際に用いられます。
行書の特徴
一般に、楷書で書くよりも早く書けます。
ただし、急いで書いても、ていねいに書いたように見えることが大切です。
私的な文書を書く場合に用いられます。
※日本書写技能検定協会「文部科学省後援 硬筆書写検定の手びと問題集」参考
楷書は、小学校・中学校の書写の時間で練習するものですね。誰にでも読みやすい字です。
たとえば、交通標語などの書道コンクールの公募が多いのは、こういった理由があります。
一方で、行書は印刷された文字とも異なり、いかにも「手で書いた字」という風情です。
大人っぽく、書きなれた雰囲気であるため、「行書への憧れ」をもつ方も多いのではないでしょうか?
まずはやさしい行書から
「楷書」→「やさしい行書」→「行書」という順でレベルアップしていきますが、「やさしい行書って?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。実際に3つを比べてみます。違いがお分かりになると思います。
※日本書蒼院「書蒼」2017年9月号より
いかがですか?
「やさしい行書」とは、それほどくずさない行書、つまり楷書に近い行書です。かんたんな行書ですね。
楷書で正しく書く・整えて書くことができるようになり、最終的には美しく書くことを目標とします。これが出来ている上で、早く書くのが「やさしい行書」と考えていいでしょう。
「行書」では、さらに美しく書くことや目的に応じて自由に書けることを目指します。
行書には色々な形がある
行書は、一部省略したり、つなげたりすることで、流れるように文をつづることができます。
楷書のように1文字ずつ形が決まっているというよりも、前後の関係性によって流動的に形を変えていきます。
ですから、たとえば「横書き」のようなときには、ムリに行書で書かず、楷書で書いたほうがよいこともあります。
点画をつなげる
行書の「つなげる」のわかりやすい例を挙げておきましょう。
どちらも「土」という部分を含む「行書」です。
筆や筆ペンだとボールペンよりも一層違いがはっきりしますね。
この2パターンについて、「どちらが正解ですか?」というご質問をいただくこともあるのですが、どちらでもかまいません。両方正解です。
ただし・・・
筆順は、まちがってはいけません。
筆順が違っていると、ありえないところで点画がつながってしまいますから、まったく違う字になってしまいます。
一画ずつていねいに書くこと、そして正しく書くこと(筆順も)を楷書の練習を通して学びましょう。
その上で、行書の練習に進んでいくのがずっと効果的ですよ。
通信講座できれいな字を身につけましょう。あこがれの「行書」も学べます。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
ただ練習するだけでは物足りない!