こんにちは、四谷学院通信講座の甲斐です。
今回は、宅地建物取引士の登録などに利用される戸籍の身分証明書についてご紹介します。
戸籍の身分証明書は、単に「身分証明書」と言われることも多いですが、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認のための身分証明書とは、その性質が大きく異なります。
戸籍の身分証明書の申請先・申請者
戸籍の身分証明書は、戸籍に関する証明書(戸籍に記載されているor記載されていないことの証明書)の一つであるため、本籍地の市区町村に発行を申請します。
現住所がある市区町村ではないことに注意しましょう。
また、戸籍の身分証明書の発行を申請することができるのは、本人(又はその代理人)に限定されています。
戸籍謄本や戸籍抄本などとは異なり、本人(又はその代理人)以外の者が申請することはできません。
戸籍の身分証明書によって証明される事項
戸籍の身分証明書を取得すると、下記の3つの事項を証明することができます。
(2)後見の登記の通知を受けていないこと
(3)破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないこと
(1)禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていないこと
「禁治産又は準禁治産の宣告」とは、禁治産宣告又は準禁治産宣告のことです。
禁治産宣告を受けている禁治産者は、現在では成年被後見人であるとみなして扱われています。
また、準禁治産宣告を受けている準禁治産者は、現在では被保佐人であるとみなして扱われています。
2000年(平成12年)3月31日以前は、禁治産者又は準禁治産者に該当する旨を戸籍に記載していましたが、同日をもって禁治産者・準禁治産者の制度が廃止されました。
これに伴い、2000年(平成12年)4月1日以降は、成年被後見人又は被保佐人などに該当する旨を東京法務局が後見等ファイルに登記し、その旨を戸籍には記載しないという形がとられています。
本籍地の市区町村は、禁治産者や準禁治産者である旨が戸籍に記載されていない場合に「禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていないこと」を証明します。
成年被後見人や被保佐人に該当しない旨を証明するためには、後見等ファイルに登記されていないことの証明書(登記されていないことの証明書)に加え、身分証明書を取得することも必要とされています。
上述の通り、現在は「禁治産者=成年被後見人」「準禁治産者=被保佐人」として扱われているので、禁治産者や準禁治産者にも該当しない旨も証明しないと、成年被後見人や被保佐人に該当しないことが証明されないからです。
(2)後見の登記の通知を受けていないこと
「後見の登記の通知」とは、成年被後見人になったことが後見等ファイルに登記された旨の通知のことです。
成年被後見人になったことが後見等ファイルに登記されると、その旨が成年被後見人の本籍地の市区町村に通知されます。
(上述の通り、成年被後見人になったことは戸籍には記載されません。)
本籍地の市区町村は、この通知を受けていない場合に、「後見の登記の通知を受けていないこと」を証明します。
(3)破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないこと
「破産宣告又は破産手続開始決定の通知」とは、どちらも裁判所が「あなたは破産者です」と言い渡すことです。
現在は「破産手続開始決定の通知」という言葉が使われていますが、昔は「破産宣告」という言葉が使われていたため、戸籍の身分証明書にも「破産宣告」の言葉が残されています。
破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けると、その旨が破産者の本籍地の市区町村に通知されます。
(破産者になったことは戸籍には記載されません。)
本籍地の市区町村は、この通知を受けていない場合に、「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないこと」を証明します。
なお、破産手続開始決定の通知を受けても、その後に裁判所から免責許可決定が受けて、これが確定すると、破産者ではなくなります。
本籍地の市区町村は、このように免責許可決定を受けて破産者でなくなった者についても、「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないこと」を証明します。
「破産宣告」という言葉が使われていた時代は、破産宣告を受けると、免責許可決定の有無に関係なく、その旨が破産者の本籍地の市区町村に通知されていたようです。
しかし、「破産手続開始決定の通知」という言葉が使われるようになって以降は、破産手続開始決定の通知を受けても、直ちにその旨が破産者の本籍地の市区町村に通知されるわけではありません。
本籍地の市区町村に通知されるのは、最高裁判所民事局長の通達(平成16年11月30日民三第000113号)に基づき、免責不許可決定が確定した場合などに限られています。
したがって、破産手続開始決定の通知を受けても、その旨が本籍地の市区町村に通知されないまま、免責許可決定が確定するケースが多いようです。
戸籍の身分証明書を取得する目的
戸籍の身分証明書を取得する目的は、主として資格の欠格事由に該当しないことを証明するためです。
たとえば、宅地建物取引士の登録においては、下記の欠格事由(宅地建物取引業法18条1項)に該当しないことを証明するために、戸籍の身分証明書を取得します。
*「復権を得ない者」とは、主として免責許可決定が確定していない者です。
(2)心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定める者
*具体的には、「精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」(宅地建物取引業法施行規則14条の2)です。
同様に、個人又は法人が宅地建物取引業の免許を取得する(宅地建物取引業者になる)場合も、個人、法人の役員、法人又は個人の政令で定める使用人が、下記の欠格事由(宅地建物取引業法5条1項)に該当しないことを証明するために、戸籍の身分証明書を取得します。
(2)心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定める者
*具体的には、「精神の機能の障害により宅地建物取引業を適正に営むにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」(宅地建物取引業法施行規則3条の2)です。
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