こんにちは。四谷学院通信講座の甲斐です。
2025年(令和7年)宅建試験に関係する宅地建物取引業法(宅建業法)改正をご紹介します。
今回取り上げるのは、宅建業者の報酬に関する「低廉な空家等の売買又は交換における報酬額の特例」の改正、及び「長期の空家等の貸借における報酬額の特例」の新設です。
その1・その2については、以下のリンク先からご覧いただくことができます。

令和7年宅建試験に関係する宅地建物取引業法改正 その1

令和7年宅建試験に関係する宅地建物取引業法改正 その2

空家等の売買又は交換における報酬額の特例

低廉な空家等に該当する宅地建物が「税抜800万円以下の宅地建物」に引き上げられました。
使用状態を問わない点は変わりません。
(従来は「税抜400万円以下の宅地建物」でした。)

また、売主だけなく「買主」も特例の適用対象として追加されました。
(従来は「売主」だけが特例の適用対象でした。)

依頼者とのトラブルを防止するため、宅建業者は、特例に基づく報酬を受け取る場合には、媒介契約や代理契約の締結に際し、あらかじめ、特例に定める上限の範囲内で、報酬額について依頼者に説明し、合意する必要があることに、特に留意しなければなりません。

以下、媒介の場合と代理の場合に分けて、報酬額の上限を見ていきましょう。

低廉な空家等の売買又は交換の媒介の場合

宅建業者が媒介の依頼者から受領できる報酬は、税抜30万円が上限です(消費税課税事業者は税込33万円が上限です)。
また、宅建業者が依頼者の双方を媒介した場合は、双方からそれぞれ税抜30万円を上限として報酬を受領できます。

なお、上限額である税抜30万円は「800万円×3%+6万円」によって求めることができる数値です。
つまり、税抜800万円の宅地建物の売買又は交換の媒介を成立させた場合と、同じ金額の報酬を受領することができます。

低廉な空家等の売買又は交換の代理の場合

宅建業者が代理の依頼者から受領できる報酬は、税抜60万円が上限です(消費税課税事業者は税込66万円が上限です)。
ただし、宅建業者(別の宅建業者であるときも含まれます)が売買又は交換の相手方からも報酬を受け取る場合は、その相手方から受け取る報酬と代理の依頼者から受け取る報酬の合計が、税抜60万円を超えてはなりません。

長期の空家等の貸借における報酬額の特例の新設

長期の空家等の貸借の媒介又は代理について、宅建業者が依頼者から受け取ることのできる報酬額の上限を引き上げる特例であり、令和6年7月から導入されています。
長期の空家等」とは、以下の(1)又は(2)のいずれかに該当する宅地建物のことを指し、宅地建物の価額は問いません
(1)現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されていない宅地建物
(2)将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地建物

依頼者とのトラブルを防止するため、宅建業者は、特例に基づく報酬を受け取る場合には、媒介契約や代理契約の締結に際し、あらかじめ、特例に定める上限の範囲内で、報酬額について依頼者に説明し、合意する必要があることに、特に留意しなければなりません。

以下、媒介の場合と代理の場合に分けて、報酬額の上限を見ていきましょう。
なお、下記の「借賃○か月分以内」は税抜の報酬の上限額であるため、実際には消費税等相当額を上乗せした金額が報酬の上限額となります。

長期の空家等の貸借の媒介の場合

媒介をした宅建業者が依頼者から受領できる報酬は、借主である依頼者から受け取る報酬が借賃1か月分以内(居住の用に供する長期の空家等の媒介にあっては、借主の承諾を得ていない限り、借賃0.5か月分以内)の場合に限り、合計で借賃2か月分を上限とします。
特例によって変わるのは貸主から受け取る報酬額の上限であり、借主から受け取る報酬額の上限は特例によっても変わらないということができます。

たとえば、長期の空家等について、宅建業者Aが貸主と借主の双方を媒介したとします。
この場合、Aは、借主から借賃0.5か月分の報酬を受領していても、貸主から借賃1.5か月分を上限とする報酬を受領できます。

長期の空家等の貸借の代理の場合

代理をした宅建業者が貸主である依頼者から受領できる報酬は、借賃2か月分を上限とします。
ただし、宅建業者が貸借の相手方(借主)からも報酬を受け取る場合は、その報酬と代理の依頼者(貸主)から受け取る報酬の合計が借賃2か月分を超えてはなりません。

これに対し、借主から受領できる報酬は、借賃1か月分(居住の用に供する長期の空家等の媒介にあっては、借主の承諾を得ていない限り、借賃0.5か月分)を上限とします。
特例によって変わるのは貸主から受け取る報酬額の上限であり、借主から受け取る報酬額の上限は特例によっても変わらないということができます。

たとえば、長期の空家等について、宅建業者Aが貸主を代理し、借主を媒介したとします。
この場合、Aは、借主から借賃0.5か月分の報酬を受領していても、貸主から借賃1.5か月分を上限とする報酬を受領できます。

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